ミツバチの童話と絵本のコンクール

雨のふる日に

受賞並村 有華 様(京都府)

 ノロブンは、皆が おいしそうにお茶をのむのを ぼんやりと見ていました。
(どんな お味なのかなぁ)
 よこから 木が、首をふって言いました。
  「ノロブンは、まだ この茶を のんじゃだめだぞ。ここにいるのは、昔 丘にいたやつら、つまり ぼうれいたちなんじゃよ。こいつらの茶をのむと、おまえは 死んでしまうぞ」
 えっと、ノロブンは 皆の顔を あらためて見ました。
どの顔も、陽気でいきいきとした 表情でした。
ノロブンは、ふしぎそうに 木にききました。
「木のおじいさんは、そんなにのんで 平気なの」
 皆、どっと、ふきだしました。
「平気じゃねえぞ」
と、犬のようなクマが言いました。
「腹のさけめが、茶をのむたびに ふかくなっていく。年がいっていくのさ」
 すぐあとをついで、オオカミが 笑いました。
「しかし このじいさん、茶会が やめられねえんだよ」
 そうなのと、心配顔でふりかえったノロブンに、木は にがわらいをしながら、また ごっくりと お茶をのみました。

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