ミツバチの童話と絵本のコンクール

雨のふる日に

受賞並村 有華 様(京都府)

「ノロブン、雨に ぬれたんじゃないかい。わたしの 毛の中に おはいり」
 おそるおそる 見てみると、大きなキバをもった 毛むくじゃらな生き物が、立っていました。
 ノロブンは こわかったけれど、その毛の中に とびこみました。思ったほど 暖かくはなかったのですが、毛で よけいな水てきをとって ほっと しました。それに 何より、毛の中に もぐりこむと 落ち着きました。
だって、とほうもないほど 変わったものに 出会ったんですもの。
 はっ、はっと、息をととのえて 頭を出すと、まわりを キョロキョロと見まわしました。
「こわくないのかい。以前 ここに来たミツバチは、まっ青になって ふるえてたぜ」
 大きなキバの下で、こわい顔をした犬が ほえるように 言いました。

 ノロブンの目が かがやきました。
ここには ふしぎな動物ばかりがいました。
ノロブンは、毛の中から とび出すと、変わった生き物 それぞれの顔を見ながら あいさつをしました。「えぇと、耳の短い ウサギさん。大きなネズミさん。こわいお顔の犬さん」
 オオカミは、苦笑しながら 頭を下げました。
「頭に のってるのは……鼻の長い ネズミさん。大きなキバと 毛のはえた……おじさん」
 マンモスも 鼻をのばして あいさつしました。
「大きな大きなトカゲさん……大きなトリさん。リスのような おサルさん」
 そして、さいごのかげを見て まゆをひそめました。
「あ、犬のようなクマ」
 大きな笑い声が また どうくつにこだましました。
「ノロブン、ここにいる皆は、昔 この丘に住んでた 仲間なんだよ」

  • 鏡野便り:山田養蜂場公式Blog
  • みつばち広場
  • 店舗案内
  • 法人様お取引窓口
  • みつばち農園