ミツバチの童話と絵本のコンクール

と・も・だ・ち

受賞斉藤 好和 様(東京都)

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変わった組み合わせですがビビとタロは
大の仲良しです。
時間のある時はいつでも一緒です。
お散歩をしながら、いろいろおしゃべりをします。
ビビは毎日、たまごを生みつづける
女王様のことや、何も働かずにブラブラしている
オスバチの事や、魔法の食べ物の
ローヤルゼリーのおいしさをタロにはなします。
タロは、隣町のブルドックとのけんかの
勝ち負けや
最近越して来たウェルシュコーギーの女の子の
かわいらしさや
牛肉たっぷりのちょっと高めのドッグフードの
おいしさをビビに話します。

ビビは、他の犬のウンコやオシッコの
においに異常なくらい関心を示すタロが
不思議でなりませんが、いそがしく
はたらかずにいつものんびりしている
タロが少しうらやましくもあります。
タロはビビたちミツバチがとても
はたらき者で、手分けをして
たまごや幼虫の世話をしたり、
巣の材料のロウまで自分たちの
体内でつくっているのを知って、
とても感心してますますビビが好きに
なりました。
話し疲れた春の午後、ビビは、ふかふかした
タロの背中でおひるねします。

「ミツバチダンスって知ってる?」
ビビがタロにたずねました。
「何?それ、おしえてよ」
タロはいつでも好奇心のかたまりです。
「お花畑の場所を仲間に知らせるダンスなの。
お花畑が遠い時は八の字ダンス。
ダンスの角度で方向を回転する数で距離を
教えるの。」
本当は巣の上を動き回るダンスなのですが、
ビビはタロのために大げさに飛び回って
みせました。
タロはいっしょうけんめいビビを
目で追って、とうとう目が回って
たおれてしまいました。

「ビビは甘いものが好きだから、
はい、これプレゼント!」
タロが缶ジュースをどこからか
拾ってきてくれました。
「うわぁ、ありがとう。」
ビビはさっそくひとくち味見をしました。
「うーん、おいしいんだけれど、やっぱり
ほんもののお花にはかなわないみたい。」
タロは少し残念そうにしていましたが、
すぐ気を取り直して言いました。
「それじゃ、散歩の途中、おいしそうな
花のあるお庭を探しておくね。」
タロは本当に気のいいやつです。

少し遠くの野原まで散歩を
した時のことです。
ブーンと無気味な羽音が
西の空から近づいてきました。
凶暴なスズメバチの群れでした。
ビビとタロは草のかげにかくれて
やりすごします。
あんな群れに攻撃されたら
タロだって危険です。
ビビの巣だって全滅です。
息をひそめてじっと待ちます。
いったい何匹いたのでしょう。
遠くに消えていく群れをこわごわ
見送った後、ふう、タロがホッと
ため息をつきました。すると、
タロの頭の上でブーンといやな羽音がしました。

まだスズメバチが一匹残っていたのです。
近くで見ると本当に悪そうな顔です。
「ビビにげて!ボクがおとりになるから。」
タロは草むらをガサガサ音をたてて
走りはじめました。
からかうように時々立ち止まり、
スズメバチを誘導します。
やつはぐんぐんタロに追いつきます。
刺されれば一匹だって猛毒です。
急所の頭のうしろをねらっています。
タロ危うし、その時、スズメバチが大きく
はじきとばされました。
ビビが力いっぱい体当たりをしたのです。
スズメバチが目を回しているうちに
ビビとタロは全速力で逃げました。

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