ミツバチの童話と絵本のコンクール

と・も・だ・ち

受賞斉藤 好和 様(東京都)

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季節は夏になりました。
ヒマワリの花が満開です。
ビビたちミツバチにとってひまわりは
ミツも花粉も大変おいしいごちそうです。
ビビも夢中になって
ヒマワリ畑と巣を往復します。
タロが話しかけても、何だかうわの空。
少しさみしいタロでした。

そんなにヒマワリっておいしいのかな?
タロは花粉のにおいを
くんくんかいでみました。
すると敏感な鼻に花粉がついてしまい
「ふわぁくしょーん!」
「へっくしょーん」
「ひいーくしょーん」
おおきなくしゃみの三連発です。

夏も終わりに近づきました。
昼はまだまだあついですが
夜にはもう秋の虫たちが
鳴きはじめています。
このごろビビは元気がありません。
毎日会っていたタロのところにも
来ない日があります。
タロは嫌われてしまったのか、
病気なのか心配でたまりません。
久しぶりにビビがあらわれた時
飛び方もちからなく
フラフラしています。
「ビビ、どうしたの?どこかわるいの?」
「タロ、そろそろお別れの時みたい。」
「え、お引っ越し?巣分れってやつ?」
「違うの、体がもううごかないの。」
「病気なんだね、そうだ薬になるものを
ボクがさがしてあげる、
ドクダミの葉っぱじゃだめかな?」

「寿命なの、タロたち犬は十五年くらい
いきるらしいけど、ワタシたち
働きバチは長くて半年なの、だから・・・」
「死んじゃうの?あえなくなるの?
そんなのいやだよ!」
「しかたがないの。でもワタシたち
働きバチはまたすぐ働きバチとして
生まれ変わるらしいの
前の記憶はほとんど消えてしまうけれど
ワタシはどこかでタロの事おぼえておく
絶対にね。だから、タロもワタシに似た
働きバチをみかけたら声をかけて、
やくそくよ。」
ビビは、それきり姿を見せなくなりました。

季節はめぐり、また春です。
タロの庭にまたミツバチが飛んできました。
今日、三匹目です。
「やぁ、こんにちわ、ボクは犬のタロ、
友だちにならないかい?」
けれどミツバチは知らん顔で、
飛んでいきます。
「クモの巣に気をつけてね!」
タロは気長に待つつもりです。
そのうちきっと、
ビビに会えると、
しんじているからでした。

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