ミツバチの童話と絵本のコンクール

さくらんぼの旅

受賞設楽 友香 様(神奈川県)

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ねずみたちが 帰ると、メジロが とんで来て ききました。
「ここで いったい、何を しているの?」
さくらんぼは、
「わたし、おっこっちゃったんです。ねずみからは 助かったんだけど。」
と、言いました。
「あら、そうなの。」
とメジロは おどろきました。
さくらんぼが、
「本当は みかちゃんの いる 愛媛まで、行くつもりだったのに‥‥。」
となげくと、メジロは、
「そうなの。なら、と中までつれてってあげるわ。」
と言いました。
「ほ、ほんとなの!」
と、さくらんぼが なみだを ふくと、
メジロは、
「ええ、ほんとよ。」と言って
さくらんぼの くきを くわえて とび立ちました。
(よかったね。はづき、もうすぐ、みかちゃんに 会えるよ。もうすぐ‥‥。)
と 心の中で さけんだときです。
「きゃーっ。」さくらんぼは 悲鳴を あげました。
メジロの くわえていた さくらんぼの くきの 先が プツンと おれたのです。
メジロは、あたりを 一生けんめい さがしましたが、
どこに ころがりこんだのか 見当も つきませんし、けっきょく 見つかりませんでした。
「ピィー! ピィー! ピィー!」
メジロは 大泣きしました。

さくらんぼは 東京の 海に
おっこちました。

なみが かかってきて、
さくらんぼは 目を つむりました。
さくらんぼが 目を あけると 東京の 空港が 見えました。
(東京の 空港が 見えるということは、ここは 東京で、
山形から だいぶ はなれたんだ。)さくらんぼは そう 思いました。
そこに 小さな かめが 来て いいました。
「どうしたの こんなところに。」
「わたし、おっこちたんです。
愛媛まで 行くつもりなんです。」
と さくらんぼが いうと かめは、
「じゃあ、つれていってあげよう。」
といって
かめは さくらんぼを せなかに のせて およぎました。

「わるいけど、おそいから、
と中までに しとくよ。
と中からは 鳥に はこんでもらった方が 早いよ。」
と いいました。
かめは、ふかく もぐりました。
(わあ きれい!)
と さくらんぼは、思いました。
まわりには、サンゴや イソギンチャクが いっぱい あって、
上を 魚が たくさん およいでいました。

「さあ もうすぐ りくにつくから、上に いくよ。」
と かめは いって 上に いきました。
そして、かめは もう少し およいで
りくに 上がりました。
そこに つばめの おばさんが とんで来ました。
かめは とんで来た つばめの おばさんに、
「この さくらんぼを 愛媛まで はこんで下さい」
と いいました。
(よかったね、はづき。 今度こそ みかちゃんに 会えるよ。
つばめの おばさん ばんざあい!
メジロさん、かめさん、つばめの おばさん、みんな ばんざあい!)
と 心の 中で さけんだときです。
「あっ!」
と さくらんぼは びっくりしました。
とつぜん、大雨が ふって、風が ふいたのです。

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