ミツバチの童話と絵本のコンクール

蜂飼いマルク

受賞まうのすけ 様(北海道)

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『蜂飼いマルク』

ここに 木箱をせおって旅をつづける 少年がひとり。

みじかい足で のんびり、ゆっくり。
ときどき 木箱を おろしてはなかのようすを たしかめる。
よほど だいじなものが はいっているのでしょう。

町へついた 少年は ひろばににもつを おろして カバンからびんに つめた ハチミツを とりだし道ゆくひとに 声をかけた。
「さぁさ! ぼくは 蜂飼いマルク!
ミツバチの つくった あまくて おいしいハチミツは いかが?」
ひとびとは たちどまり マルクのほうへよってくる。
「はちみつ? なんだね それは?」
「きいた ことが ないね」
おやおや、この町のひとは ハチミツをしらないらしい。
「ミツバチが つくったって?」
「虫けらに そんなことが できるもんか」
ざわめく ひとびとに、マルクは 木箱のふたをとって なかを見せた。
木の わくに びっしり ミツバチが はりつきうごめいている。
「これが ミツバチの巣です。
このなかに、みつ が つまっていて……」
マルクが せつめいを はじめる。
しかし ひとびとは 巣を きみわるがってどんどん はなれて いって しまった。

「まいったなあ…」
マルクを なぐさめるようにいっぴきのハチが かたに とまった。
マルクが つぶやく。
「しかたない。
はじめてのものに であったとき、たいていのひとは なれるのに時間が かかるもんさ」

マルクはまた 木箱をせおって町のなかを あるきはじめた。

マルクは ずっと こうしてきたのだ。
ハチミツを たくさんのひとにたべてもらう ために。

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