ミツバチの童話と絵本のコンクール

ごめんなさい

受賞石井 圭子 様(千葉県)

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まだまだみつばちたちが集まってきました。
今度は大きくって、ゆらゆら動くおばけの出現です。
ああなんて恐ろしい、目をつり上げ、口を大きく広げ、
今にもおそいかかってこようとしてるようです。
さすがのカラスも一瞬おじけ付いたようでしたが、
目をまんまるにしながら必死で言いました。
「おかしいよ、おかしいよ。こんな青空の真っ昼間に、
おばけが出るなんて、おかしいよ。」
そういえば、太陽がさんさんと輝いている時のおばけって、
あまり迫力がありません。
まったくカラスは頭がいい。

ブーン、ブーン,まだまだみつばちたちが集まってきました。
な、なんと巨大なカラスになったではありませんか。
そして怒って羽をひろげ、言ったのです。
「これ、いたずらカラス、お前のせいで他のカラスも迷惑してる。
自分のことだけ考えるのはもうやめなさい。
人間に悪さをするのはやめなさい。
私の言うことがきけないなら、仲間から追い出してしまうぞ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、大ガラス様、もういたずらはしません。
だから仲間はずれにしないでください。」
さすがのカラスもすっかりしょげかえり、小さくなってふるえていました。

「あれっ、どうしたんだい今日は?いやに元気がないねぇ。
花は持っていかないのかい…、はは〜んさては、恐いめにあったんだね」
やさしいおばさんは、元気のないカラスのことを心配してくれました。
のんびり犬のプーピーもちょっと心配そうです。
おばさんは花の好きなカラスのために、花の種をわけてくれました。
「お前は花の好きな本当はやさしいコなんだろう。きれいなものが好きなんだよね」
カラスはうれしそうに、頭を何度もさげると元気に飛び立っていきました。

「おはようございます。」
「おはよう」
気持ちのいい朝です。
街にはしばらく前から、あちこちきれいな花が咲くようになりました。
街の人達もゴミ出しに気をつかい、周辺をきれいに心がけるようになり、
ポイ捨てもめっきり少なくなりました。
「やったねカラスくん」
みつばちがいいました。
「エヘッ、俺ってさ、ほら、きれいなものが好きだから」
照れたようにカラスがいいました。

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