ミツバチの童話と絵本のコンクール

ゲンさんのはらまき

受賞行田 美希 様(京都府)

 ハチミツ村に住むみつばちゲンさんは、あめざいくやさんです。ハチミツで作ったあめざいくを売っています。リンゴの形やみかんの形、ハチの形からありの形まで、ありとあらゆるあめを作ります。ゲンさんは、トラをたおしたことが自まんです。トラと戦って、とどめにトラのおしりに針をブスッとさして勝ったのです。その時のトラの皮で作ったはらまきは宝物で、ゲンさんはおなかにいつもつけています。
「おなかがひえなくていいよ!」
ゲンさんは笑います。

 ある日、ゲンさんは、庭ではらまきをほしていました。昨日、水の中に落ちたタンポポわた子さんを助けてあげた時に、ぬれてしまったのです。わた子さんからもらった花粉だんごをかじりながら、ゲンさんはぼうっとしていました。とつぜんビュ〜ンと強い風がふいてきて、ゲンさんのはらまきがふきとんでしまいました!
「お、おれのはらまき〜!!!」

 ゲンさんのはらまきのことは、村中に広まりました。TVハチミツのアナウンサーが、ゲンさんの家まで来て、生放送しています。
「ハチミツ村に住むみつばちゲンさんのはらまきが風にとばされてしまいました。」
アナウンサーは言います。
「黄色と黒のしまもようのはらまきです。」
次にアナウンサーはゲンさんに質問しました。
「はらまきといっしょにとばされた物はありませんか?」
とたんにゲンさんはビックリして40センチもとびあがり、わめきました。
「ない!ない!はらまきの中には何もない!ぜったいない!」
ゲンさんは泣きながら家に入ってしまいました。しばらくして立ち直ったアナウンサーが、
「ゲンさんのはらまきを見つけた人には、あめざいくをプレゼント!TVハチミツでした!」
放送はここで終わりました。

 さて、村の人は、あめざいくもほしかったけど、はらまきの中身が気になりました。ぜったいにゲンさんが何かかくしていると思ったからです。
「きっとおせんべいだよ。」
「いやいや、花粉だんごだ。」
「くじだと思うな。」
「なるほど!宝くじか!」
村の人はうわさしました。

 次の日、ゲンさんの家に親友のアシナガ・ゴロウさんが来ました。ゴロウさんは、ふとんからでてこないゲンさんを見て、「カメかい。」とつぶやきました。
「なあゲンさん、いっしょにはらまきをさがしに行こう!大切な物なんだろ?」
ふとんからちらっとゲンさんの背中が見えました。
「今ならまだ遠くに行っていないはずだよ。」
ゲンさんの足が見えました。
「はらまきの中身がみんなにバレるよ!」
ゲンさんがとびだしてきました。
「よし、行こう!」

 夜、ゲンさんとゴロウさんは空をとんでいました。昼だとTV局につきまとわれるからです。二人は歩いている人に聞いてみました。
「トラじまのはらまき知りませんか?」
「黄色と黒のしまのはらまき知りませんか?」
「知りません。」
「見たことないな。」
 みんな知らないようです。しかたなく、その日は大きな木の下でねました。次の日は、花粉のおむすびを食べた後、となりの町、レンゲ村まで行きました。この村は、レンゲがたくさんさいていて、とてもきれいです。

  • 鏡野便り:山田養蜂場公式Blog
  • みつばち広場
  • 店舗案内
  • 法人様お取引窓口
  • みつばち農園