ミツバチの童話と絵本のコンクール

ハルやベーカリーのお客さま

受賞もも 様(福岡県)

 また、ハルさんは若い狐が化けた男の子をみると泪をポロポロとこぼしました。つるへいさんも仕事場から出てきて男の子をみると泪をそっとふいていました。
 ハルさんは紙袋に棚のハチミツパンを残らずいれてくれました。
 若い狐は森に帰ってハルさんとつるへいさんが今夜も泪をこぼしたことを話しました。
「申しわけありません。私は狐ですと謝ったらどうだ。おまえは少し悪さをやり過ぎた」 と長老狐は少し怒っていいました。
 若い狐もそうしようと思いました。


 ハルさんが金庫のふたをあけるとまっ赤なモミジの葉が一枚入っていました。狐がさっきおいていったお札です。
「もう森は秋ですねえ」
 ハルさんがモミジをクルクルとまわしながらいいました。
「どうですか、ハルさん。ターくんにも会えたし、これでハルやベーカリーを閉店にしましょうか」
「ええ、そうしましょう」
 次の日の夜、若い狐は耳を立て、シッポをふりながらハルやベーカリーにやってきました。ごめんなさいと謝りにきたのです。
 すると、いつも明るかったお店が暗くてカーテンがひいてありました。そしてガラス戸にはり紙がしてありました。
(お客さまへ。長い間、ごひいきにしていただきありがとうございました。
 ハルやベーカリーは本日をもちまして閉店させていただきます)
 とうとうハルさんとつるへいさんはお店をやめてしまったのです。
 はり紙はもう一枚ありました。
(森のお客さまへ。いつもいつも買いにきて下さいましてありがとう。あなたのおかげで息子のターくんに会えました。ほんとうにありがとう)
 そのとき、若い狐の目からあったかい泪がポロンポロンとおちてきました。
 若い狐はお店に頭をさげました。それからこれからは長老狐のようにあぶらげだけをたべることにしようと思いながら森に帰っていきました。

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