ミツバチの童話と絵本のコンクール

きらきら

受賞赤星 浩志 様(東京都)

「みなさん」
 スピーカーから校長先生の声が流れると、みんながわぁっ、と声をあげた。
「さんにいいち、ぜろ、でおもいっきり遠くまで飛ばしましょう。みんな声をそろえてね」


 その時、ぼくは校庭の真ん中に、校舎を見上げている小さな子供たちを見た。その中のひとりの女の子と目があった。あの子だ。


「それでは、準備はいいかな?」
 ぐるっと回りを見渡した。みんな笑ってる。桑田さんも塩津さんも、広川くんも笑ってる。


 さん
 にい
 いち
 …ぜろ!
 七百三十八人の手からひこうきが滑りだした。
 七百三十八匹のみつばちが、一斉に巣箱を飛びだした。


 そして、ぼくはたしかに見たんだ。
 子供たちは、透き通った背中の羽に太陽の光をキラキラと反射させながら空に舞いあがった。そして飛び交うひこうきの間を抜けると、そのまま校舎を越えて、ぼくのいる場所から見えなくなった。

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