ミツバチの童話と絵本のコンクール

雨のふる日に

受賞並村 有華 様(京都府)

 ある森のむこうに、小さな丘が ありました。 
その丘には一本の古い大木があり、根もとの ほらにミツバチの一族が、もう長いこと住んでいました。
 ほらは、いつも暖かく 住みやすかったのですが、この木には、ひとつだけ大きな欠点が ありました。
それは、雨の日に 姿が消えてしまうことです。
 雨が降りだすと、まるで 絵の具が消えていくように、木がなくなってしまうのです。
 だから、空もようが あやしくなると、ミツバチたちは あわてて巣に帰って来ます。
そうじゃないと 大雨を草むらで過ごさねばならず、はだ寒い日に体をぬらすと 病気になりかねませんからね。
 何としても 雨がふるまでに、暖かなほらに すべりこまなけりゃなりません。

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