『ムムンさんのパンケーキ』

　ムムンさんは宇宙未来恐竜ロボット研究所の所長さんです。
大変むずかしい研究をしていて、毎日とても忙しく頭はいつもそのことでいっぱいです。

ですからムムンさんの奥さんが
「今日は雨が降るんですって。傘を忘れないでね」
と言っても
「夕飯はオムライスだね。ケチャップは多めに頼むよ」
なんてとんちんかんな返事をすることはしょっちゅうです。

　今日は息子のミミンくんの誕生日。
「あなた、今日はミミンの誕生日よ」
と奥さんが叫んでも
「早く帰ってきてね」
とミミンくんが叫んでも
「わかってる。雪なんてへっちゃらさ。ながぐつをはいていくよ」
とまたまたとんちんかんなムムンさん。

「今日は僕の誕生日なのになァ…」
　ミミンくんはちょっぴりさびしくなりました。
“そうだ、手紙だったら読んでくれるかもしれない”
　ミミンくんは大急ぎで手紙を書いて、ムムンさんのポケットに入れました。

　そんなムムンさんですから、歩いていても前なんか見ちゃいません。本を読みながらズンズン前に進みます。
ズボンッ。
　あれあれムムンさん穴に落ちてしまいました。それでもムムンさん、ズンズン前に進みます。

おやおや、ムムンさんの足音で、風邪をひいていた　カエルくんやお昼寝をしていたアリさんの赤ちゃんたちが目を覚まし泣きだしてしまいました。
それでもムムンさん気づかずに　ズンズン前に進みます。