ミツバチの童話と絵本のコンクール

わたしがいないと

受賞石井 真心 様(北海道)

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ミミたちはしばらくだまっていました。
「空ってとてもきれいなんだろうな。」
アーリーが言いました。
ミミはアーリーの方を見ます。
「わたしたち地面しか見たことないの。どうなの?空は…。」
「うん。…きれいだよ。」
「へえ。一度でいいから行きたいな…。」
ミミはそっとアーリーを持ち上げました。
アーリーはおどろいています。
「見せてあげるよ。わたしたちの世界…。」

アーリーはおっかなびっくりです。
「すごい!こんなに広いなんて!いいなあ…。」
「そう?」
「あなたにできることはわたしにはできない。
わたしにできることはあなたにはできない…。」
「え?」
「いえ、こうやって生き物は生きてるんだなって、思ったの…。」
「うん?」

「わたし、もうそろそろ帰らないと…。
女王アリさまがまっている。」
「そう。」
ミミはアーリーを地面に下ろしました。
「ミミさん、どんないやなことがあったって、
わたしたちのもどるところは一つしかないの…。」
ミミはアーリーを見送りました。

アーリーが最後に言ったことばは、ミミにだってわかってます。
なんと言ったって、今、しぜんとミミの体は
巣へもどろうとしています。
もどっているとちゅう、ミミはあのみつを
うばうおじさんに会いました。
しかし、今はニコニコ顔です。
「いつもいつも、おいしいはちみつをありがとな。」
『あげたくてあげてるのではないのよ…。』
「やっぱりみんなおまえさんたちのおかげだ。
おまえさんたちがいなければ、みんなこまってしまうな。」
ミミはだまって巣の中へ入りました。

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