ミツバチの童話と絵本のコンクール

わたしがいないと

受賞石井 真心 様(北海道)

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「この気分はなんだろう?」
ミミは飛びながらそう思っていました。
「なんかへんなの。ホッペタがあたたかい気がする。」
ミミはホッペタをさわりました。
「やっぱり、あったかい。こんな気持ち…、はじめて。」
ミミは、そんな気持ちをごまかすように、
クルッとまわってみました。
「よーし。町の中に行ってみよう。」
ミミは町中へ入っていきました。

ミミは町の中を飛んでいると、
とてもいやなものを見てしまいました。
それは、人間が民家に作ったスズメバチの
巣をとっているのです。
そばには、スズメバチがたくさん落ちていました。
ひどいハチだったけれど、
同じハチとしてはかなりつらくてたまりません。
ミミはその場からにげ出しました。

ミミは、とぼとぼあたりを飛んでいました。
「あっ、ミミさんだ。」
地面の方から声をかけられました。
見ると、友達のはたらきアリのアーリーが
見上げていました。
「やあ、みつは集まっています?」
ミミはだまって見下ろしました。
「どうしたのですか?…少し話せますか?」
ミミはうなずき、地面に下りました。

「ねえ、アーリーたちは人間に何かされたり しない?」
ミミはよこに座ったアーリーを見ました。
「とくにはないよ…。…だけどたまに、
お子さまたちに巣穴をうめられちゃうな…。」
「そんな!ひどい!」
「だけれど、そんなことを言っていたって仕方ないでしょう?」

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