健康食品、化粧品、はちみつ・自然食品の山田養蜂場。「ひとりの人の健康」のために大切な自然からの贈り物をお届けいたします。
7.同じ思い
一週間がたちました。みつばちは、あいかわらずゆらゆらと風の旅です。
「あ〜あまだ森は見えてこないな。あっあれもしかして森、でも林にもみえるな。でも、たしかめてみるか」
みつばちは、風に乗って森の中へ入って行きました。森の中は、とても明るくてあたたかい風が吹いています。まるで太陽の中みたいです。みつばちがふと横を見ると、色とりどりの美しい花がさきほこっています。
「わぁ〜きれいな花。ここにならチューリップがあるかもしれない」
みつばちは、美しい花に見とれていました。みつばちは、チューリップをさがしました。
花のならぶ道を、中央へ中央へチューリップをさがして進んで行きました。
ちょうど半ぶんぐらいきたでしょうか。
「わぁ〜きれいな木」
みつばちは、木をじっと見つめました。ふと根元のほうを見ると、色とりどりにチューリップが咲いていました。
「なんだやっぱりあったのか。それにしてもこのチューリップきれいだな」
みつばちがチューリップの花に顔を入れたその時、だれかが大声でさけびました。
「わたしのぼうやになにするの」
みつばちが、声のした方を見ると、光りかがやく美しい木が、みつばちをにらんでいました。木が光のこなをまくといっせいに動物たちが集まってきました。
みつばちはびっくりしてチューリップからはなれました。みつばちの目の前に、大きなシマリスがあらわれました。
「こらっ、フラワーさんのぼうやをとろうなんて、この森のもんじゃないわね」
「フラワーさんてだれだい」
「知らないの。あなたの後ろのステキな木よ。いつ見てもうっとりしちゃう」
「フラワーさん、そのチューリップの花ふんをいただけないでしょうか」
「いやよ、いや。一つぶだってあげないわ」
「どうして、ぼく、どうしてもそのチューリップがほしいんだ」
「なぜ、わたしのぼうやをほしがるの」
「いまこの森には、あたたかい風が吹いているでしょ。この森のぎゃく方向から来たんだ。ぼくのいた森も、あなたのような美しい木がありました。でも、かみなりにうたれてたおれてしまいました。木を助けるには、どうしてもチューリップが必要なんです」
「あなたはとってもやさしい子ね。でも、ぼうやをあげることはできないわ」
「少しだけでいいんです」
「だめったらだめなの。あたしのぼうやはだれにもあげないわ」
「なぜ、チューリップをそんなに大切にするの」
「チューリップじゃないわ。わたしの大切なぼうやよ。もうなん年も昔のことよ。わたしには子どもがいたの。それはもうかわいくてすてきな子だったわ。けれど森にへんな病気がはやりはじめたの。病気にかかった木は、葉がむらさきになり、枝が青くなったわ。病気は広がり、わたしのぼうやもでんせんしてしまったのよ。わたしはもうあきらめたわ。でもなぜか花にはでんせんしなかったわ。わたしはそのとき思ったわ。あの子はチューリップをとても大切に育てていたわ。その年あの子は天に旅立ったわ。あの子がチューリップを大切にしていたその気もちが、わたしにはよくわかった。だから、わたしは、チューリップをぼうやだと思って大切に育てたのよ。だから、だからこんなに大切にしてきたぼうやを人にあげるなんてできないわ」
「でも、ぼくだって大切な人をなくしたくないよ。ぼくのお母さんも死んだんだ。ぼくもフラワーさんのように同じぬくもりを感じた木がいるんだ。だから、人にきずつけられたくないという気持ちがわかるんです。だから、フラワーさんのチューリップはあきらめます。すみません。つらいことを思いださせてしまって」
みつばちは飛び立とうとしました。するとその時、フラワーがニッコリわらって言いました。
「あなたは、わたしのぼうやにそっくりね。あなたは今日からわたくしのぼうやよ。どうぞチューリップを持ってって」
「ありがとうお母さん」
みつばちは、ニッコリわらって、チューリップの花ふんをやさしくとりました。みつばちは、フラワーさんにお礼を言うと花々のならぶ道を飛んで行きました。みつばちはウッドのいる森に向かいました。
8.ふる里へ
なん日も、飛んで行くと、ウッドの森が見えてきました。
「お〜いみんな、花を持ってきたぞ〜」
動物たちは、みつばちに言いました。
「みつばちくんありがとう・・・ポロポロ」
「なぜなくの、せっかく花を持ってきたのに」
「みつばちくん、残念だがウッドは今、息を引きとったよ」
「そんなウッドさん、目をさましてください・・・そうだ、まだくすりがきくかもしれない、ふくろう博士手伝ってください」
「むだだと思うがやってみよう」
ふくろう博士は、花ふんをすりつぶしこなにしました。
「さあ、みつばちくん、これをウッドにかけるんだ」
みつばちは、ウッドの葉、体に花ふんをかけました。
・・・シ〜ン・・・
いっしゅんあたりが静かになりました。だが、なにも起こりません。みつばちは、なきだしました。ウワ〜ンシュシュみつばちにつられるように、森の動物たちもなきだしました。森にあたたかい風がふき、なみだがウッドの体にふりそそぎました。と、その時、ウッドが光に包まれました。
パーッと光かがやく中から、美しい昔のウッドが出てきました。
「みつばちくん、ありがとう、この森の神がわたしなら、きみは天使だ」
森のみんなはみつばちを黄色の天使と呼ぶようになりました。いつまでもみんなの心の中に残る黄色の天使です・・・
あなたも、黄色の天使がすむ森をさがしに行きたいですね。きっとウッドも森のみんなも待っていることでしょう。