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「心の栄養」を送り続けたい 童話と絵本のコンクールによせる想い

現在、小中学生だけで毎年13万人もの子どもたちが、不登校という形で学校教育への不適応を示しています。小学校低学年に急速に広がりだした学級崩壊は、すでに全国の7〜8%のクラスに及び、残りの半数近くのクラスでも何らかの兆候が見られるといわれています。10代の少年たちによる凶悪犯罪は途絶えることなく、いまも社会に大きな衝撃と不安を与えています。確かに、これらの衝撃的な事件はどれも「特異なもの」です。しかし、全体から見るとごく一部の子どもたちが起こしてしまった事件が、今日の子どもたちが置かれている状況を象徴的に映し出しています。その証拠に、これらの事件に対して多くの中高校生が「気持ちはわかる」と共感をあらわしています。凶悪事件を起こした少年たちと同じような心境に置かれ、どこかに相通じる苦悩を抱えているということに他なりません。

子どもをめぐる教育環境はもはや危機的な状況にあります。これらはすでに個別の学校や家庭教育の限界を超え、「社会的病理現象」とでもいえる深刻な様相を呈しています。そこには、自分たちの物質的豊かさや快適さばかりを追求してゆく中で、どんどん利己的になった大人社会が見えます。突きつめてゆくと、これまで日本社会が中心に据えてきた経済一辺倒の文化による「競争と効率主義」の破綻が、子ども世界にも引き起こされたと考えられるのではないでしょうか。

いずれにせよ社会の不健康が子どもたちの世界にも暗い影を落としているのは間違いありません。当社は、はちみつやローヤルゼリー、プロポリスという健康食品を通じて、健康を社会へ届ける仕事をしています。直接には教育との関わりはありません。しかし「もし私たちに、社会の人たちの健康に奉仕する使命があるのなら、身体の健康だけではなく、心の健康にも貢献する責任があるはずだ」と私たちは考えました。また、こうも考えました。「この社会の不健康の原因は、経済社会のもたらした都市型のライフスタイルへの変化の中で、家庭、地域、学校、マスコミ、社会などのコミュニティが教育環境として健全に機能しなくなったことにも一因がある。養蜂業という農業を原点とする当社だからこそ、いまの社会が忘れかけている大切な心、農業社会が持っていた心を再生する責任があるのではないか。競争と効率主義の根底にある利己主義に対して、共生と共同、連帯の実感による個性の尊重という方向に向けての活動を行なうべきではないか」と。

「ミツバチの童話と絵本のコンクール」もすでに4回目を迎え、これまでに約1万点以上の応募をいただきました。このコンクールへの参加を通じ、私たちと共に子どものことを考えてくださるみなさまが全国に増えたことが何よりの喜びです。これこそ、私たちがこのコンクールを始めた目的なのですから。

今年も「ミツバチの童話と絵本のコンクール」を開催します。社会の心の健康を取り戻し、『心の栄養』を子どもたちに贈り届けたいという私たちの思いが込められた「ミツバチの童話と絵本のコンクール」から、また新しい作品が生まれ、その作品によって未来を担う子どもたちの心がより豊かに育てられることを切に願っております。

山田養蜂場代表 山田英生

(この内容は2002年4月に新聞紙上に掲載されたものを一部修正しています。)

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