健康食品、化粧品、はちみつ・自然食品の山田養蜂場。「ひとりの人の健康」のために大切な自然からの贈り物をお届けいたします。
宮脇 昭氏×山田 英生対談
近年、地球規模で自然が猛威をふるい、地震、台風、干ばつなどの災害で多くの貴重な生命が失われてきました。「甚大な被害は、自然の摂理を超えて森を破壊し続けた人災だ」と断言する横浜国立大学名誉教授、宮脇昭氏(78)。「命を守る本物の森づくり」に情熱を傾けています。かけがえのない一人の家族の死を、「一人の人のために」という創業の精神に昇華させた山田養蜂場代表、山田英生(48)。多くの人の命と健康に奉仕する企業の経営者として「病気にならない前の健康づくり」を呼びかけています。
【構成 毎日新聞社 編集委員・成井哲郎】
年中行事のように毎年、日本列島を襲う台風や水害。限度を越えて森林を破壊してきた結果か。逃げ遅れた住民を救う航空自衛隊のヘリ=新潟県の刈谷田川で03年
ここ1、2年、台風や豪雪、地震災害が相次いでいます。海外でも米国・南部でのハリケーンの襲来やスマトラ沖大地震による大津波などで多くの貴重な命が失われました。まさに、限度を超えて自然を破壊し続ける人間への神の怒りのように思えてなりません。木をおろそかにし、森を破壊してきたツケであることを私たちは忘れてはなりません。もう少し土地本来の森を残していたら、これほど被害は大きくならなかったと思います。
そんな気がしますね。地球温暖化が進むと、気象がどんどん不安定になって台風やハリケーンなどの災害がひんぱんに起こります。温暖化対策を怠ると、取り返しのつかない災害が発生し、その復興に莫大なコストがかかるため、経済は疲弊し、最終的に破綻すると警告する人さえいます。私は、この説が必ずしも間違っているとは思えません。
昨年の九州の水害を見ても、みんな根の浅いスギばかり植えているところに被害が集中しています。土地に合わない、いわゆる"にせもの"の木を植えると、こうなるんです。こうした木を植えると、20年間は下草刈りや枝打ち、間伐などの手入れが必要になってきます。やっと育っても外材に価格面で負けて、伐れば赤字、放っておけば過熟林になります。もともと浅根性ですから大水が出ると、土砂が崩壊し、被害が一層、大きくなるんです。これは、天災ではなく人災なんです。警察も行政も、人が死ななきゃ動こうとしません。ことが起きてからでは遅すぎるんです。
私も、そう思いますね。
災害から命を守る森づくりが全国各地で広がっている。山林火災跡地での植樹祭=06年3月、香川県直島で都市砂漠、セメント砂漠の中で憩いの場として
確かに、人間が生きていくためには、木材生産のための木を植えることも必要だし、の緑の空間をつくることもわからないわけではありません。また、好みに合わせて門や玄関に、格好のよい庭木や外来樹を植えることがあっても、よいと思います。しかし、森を木材生産や美化の対象としてのみ考える時代は、終わりました。これからは、愛する家族や子どもたち、そして人間の命を守る本物の森をつくることが一番、重要なんです。
私たち、健康を考える企業にとって、命はもっとも大事なキーワードの一つです。私の妹は、先天性の心臓障害を持って生まれてきました。創業者である父は、娘の病を治したい一心で、父親としてあらゆる手を尽くしました。おりしも、当時のローマ法王ピウス(ピオ)12世がローヤルゼリーの投与を受けて危篤の床から奇跡的な回復を遂げたというニュースが世界を駆け巡り、日本にも飛び込んできました。これを知った父は、さまざまな文献を取り寄せて研究を重ね、ローヤルゼリーを大量生産する技術を習得しました。しかし、妹は結局、手術の失敗で14歳で亡くなりました。娘の死にショックを受けた父は、独自に確立した技術を多くの人の健康に役立てたいと、さらに新しい商品の開発と研究に取り組んだのです。
娘さんの死は不幸ではありましたが、結局は無駄にはなりませんでしたね。
私も妹の死からたくさんのことを学ぶことができました。そのあまりにも短い生と死を通して、私に死ぬことと生きることの意味を問いかけてくれたのです。考えてみれば、死とは遠いところにあるのではありません。私たちは生きている限り、確実に死に向かって進んでゆく存在なのです。だからこそ、いかに生きるべきかが問われているんです。私たちは今でこそ多くの方々にミツバチ産品をお届けしていますが、元は家族の健康を守るため、という素朴な人間愛から出発したものです。妹の死は、「一人の人のために」という創業精神の中に脈々と生きています。
それは本当に崇高な精神だと思いますね。
舞い上がるスギ花粉。今や日本人の6人に1人がかかるといわれる花粉症は、現代の国民病。年々弱くなる現代人の身体も影響しているようだ=東京都八王子市の山林で
普段、健康食品をお客様にお届けしていて感じるのは、現代人の身体は、どんどん弱くなって、免疫力が落ちていることなんです。そのせいか、アトピーとかアレルギー性疾患などが最近、非常に増えているような気がしてなりません。例えば、小学生のころ、おなかの中に回虫がいて、これを駆除するために、虫くだしをよくクラスで飲まされたことがありましたよね。しかし、最近になってわかったことですが、回虫がおなかの中にいることで回虫の出す分泌物がアレルギー症状への免疫力を高めていると聞いたことがあります。結局、雑菌によって新たな抵抗力ができるわけです。これからの医学は、生命力そのものを強める予防医学が重要になっていくと思いますね。
私は学会が近づくと、資料づくりなどで徹夜したり、ちょっと無理をすると、必ずへんとう腺が腫れるんです。でも、ドイツ製の抗生物質を打つと、不思議と熱が下がるんです。ドイツに滞在していたとき、へんとう腺が腫れたので薬局で抗生物質を買おうとしたら、「医師の処方せんがないとだめだ」と言って売ってくれません。仕方なく、病院へ行って「処方せんを書いてくれ」と頼むと、老医師は「この程度では抗生物質の必要はないよ。そう簡単に"毒"は与えられない。レモンでも絞って飲み、毛布をかけて一晩寝ればすぐ治るよ」と言われたので、その通りにしてみたら翌朝、本当に熱が下がり、びっくりしました。その後、たまたま、この薬品工場を見学する機会があり、工場内に抗生物質が山のように野積みされているのを目にしたんです。私は「薬局では売ってくれないのに、工場にはこんなにたくさん置いてあるではないですか」と聞きましたら、「これはヤパン(日本)や開発途上国へ輸出するものです。今、海外では、ものすごく売れているんですよ」と、こともなげに言う。やはり、日本とは、医療や薬についての考え方や哲学が違うと痛感しましたね。
なるほど。世界の抗生物質の30%を消費していると言われる日本は考えなければいけませんね。私たちは、風邪を引いても解熱剤で無理やり熱を下げようとしますよね。しかし、実際は熱を無理に下げることで、風邪がいつまでも長引き、逆に完治を遅らせることになる。人体は発熱することで免疫力が活性化し、風邪のウイルスを排除するメカニズムのようです。だから解熱剤で体温を下げるのは、実は逆効果らしいんですね。
なるほど。
以前、米国で「MRSA(院内感染)に対する究極の抗生物質『バンコマイシン』の効かない菌が発見された」とのニュースが報じられたことがありました。医学の世界では、抗生物質は本来、菌をやっつけるために開発されたものなのです。しかし、抗生物質よりもっと強い菌が出現したために、今度はその菌を上回る強い抗生物質を開発する、というイタチごっこが何度か繰り返されてきました。しかし、抗生物質に対する菌の進化は、「生命」という観点で考えると当然の法則と思います。生命は、プレッシャーを与えることで、そのプレッシャーを乗り越えて、どんどん進化していくものです。であれば、菌にプレッシャーを与えるのではなく、菌といかにうまく共存していくかが大事と思います。それには人間の免疫力を高めていくことが必要ではないでしょうか。
その通りです。私もドイツでの経験から免疫力を高めることの大切さを身にしみて感じました。
今、医学会でも、従来の対処療法一辺倒の考え方から、より副作用の少ない生薬や東洋医学を併用した予防医学なども注目されてきています。また、これまでは患者の側にも「病気の症状さえ薬で改善すればよい」とか「なんでも抗生物質が効く」という安易な考え方があったと思います。最近、自然の力をうまく利用することで、免疫力を高め、健康なうちに病気にならない身体をつくる、という考え方が欧米でも定着しつつあります。私たちが扱っている健康食品も、実はこの予防医学的な考え方の延長線上にあるものなんです。欧米を中心とする予防医学回帰の流れは、日本にも伝わってきており、国民の医療費が財政を大きく圧迫している今、国としても、「自分の健康は自分で守ろう」と国民に提唱していくことが大切でしょう。
(企画制作、写真提供:毎日新聞社広告局)