山田英生対談録

今日を生きるために、未来を変えるために。
〜ウイルスに負けず健やかに暮らす、その羅針盤となる5つのこと〜

枝廣 淳子氏×山田 英生 対談

枝廣 淳子氏と山田 英生 ウイルスに負けず健やかに暮らす、その羅針盤となる5つのこと。 1.体力・免疫力を保とう(stay Healthy) 2.ポジティブな気分でいよう(stay Positive) 3.つながりを保とう(stay Connected) 4.感謝の気持ちを忘れずに(stay Thankful) 5.大事なことは考え続けよう(stay Focused)

逆風と荒波に耐えながら、いつも、新しい世界を創造してきた人類。

精神と肉体の健康。その両輪で、強くしなやかに生きる。

山田

新型コロナウイルスによる未曽有の災禍が、世界中の人々の暮らしに暗い影を落とし続けています。枝廣さんは「コロナウイルスに負けないために大事な5つのこと」と題した警鐘を素早く鳴らされました。これはどのような想いからでしょうか?

枝廣

新型コロナウイルスの世界的な大流行が起き、各国で外出禁止令や都市封鎖が宣言されるなか、STAY HOME、「家にいよう」という気運がわき起こりました。感染しない・感染させない、という肉体的な健康を守るためですが、私は、精神的な健康にも留意しなければいけないと強く感じました。

山田

枝廣さんは以前から、「しなやかな強さ」という考え方を重視されていますね。

枝廣

それは、強い風にも重い雪にもポキッと折れることなく、しなってまた元の姿に戻る竹のように「何かあっても立ち直れる力」です。ウイルスの感染拡大は、「春になれば好転するだろう」という楽観的な声も多かったのですが、実際にはかなりの長期戦となりそうです。その渦中にあって「しなやかな強さ」を心身ともに維持するための「羅針盤」となることをお伝えしたいと考えたのです。

山田

まず最初が体力・免疫力を保とう(Stay Healthy)ですね。

枝廣

私たちにできることは、「かからないよう、気をつけること」は当然ですが、もうひとつ大事なことが「感染しても症状が軽くて済むよう、体力や免疫力を高めておくこと」です。例えば、十分な睡眠時間をとる。十分な栄養をとる。室内でもできるだけ運動やエクササイズをするといったことが、とても有効です。

山田

可能ならば、ウォーキングなどに出ることも良いでしょう。

枝廣

個人的には、意識的な腹式呼吸もおすすめです。山田養蜂場さんも、免疫に関する研究に注力されていらっしゃいますね。

山田

人間に本来備わった「回復力」や「免疫力」については私共も長年研究を続けております。山田養蜂場の「使命」だと考えております。例えば、かぜ・インフルエンザ等の感染症の予防に関する研究成果に、「プロポリスの回復促進作用」があります。こちら(下記の図)のグラフをご覧ください。
成人男女(20〜69才の健康な59名)を2グループに分けて、一方にはプロポリスエキスを含むカプセルを、もう一方にはプロポリスエキスを含まないカプセル(=プラセボ※1)を60日間継続して投与。その期間の風邪症状の有無とその症状(だるさのレベル)を記録してもらいました。その結果、感染症が治るまでの日数は、プロポリス群ではプラセボ群より平均1.3日も短縮され、体のだるさも大幅に低くなり、プロポリスの継続的な飲用は感染症からの回復を早めることがわかりました。

  • ※1 偽薬

また、熊本大学・薬学部の三隅将吾先生は人間の「腸管免疫」に大きな役割を果たしているM細胞の数や機能を調節する食品として、ローヤルゼリーに注目されました。実験の結果、ローヤルゼリーの摂取によってM細胞が増加し、腸管免疫が強化されて、細菌やウイルスへの抵抗力が高まる可能性が実証されました。M細胞は年齢とともに減少することが報告されているため、ローヤルゼリーの摂取による高齢者の感染症予防効果が期待されています。

プロポリスによる風邪症状軽減作用 腸管免疫物質であるIgA抗体の反応性(=免疫力)がローヤルゼリーの摂取で著しく増加

前向きに人とつながり、感謝する心こそ、明日への架け橋。

山田

次に挙げられているポジティブな気分でいよう(Stay Positive)にも関係しますが、以前、日本未病医学研究センターの劉影所長と対談した時に、「愛する家族と一緒に楽しい話をしながら食事をすれば、それだけでも免疫力は上がる」という話題がありました。

枝廣

至言ですね。こういう状況なので、暗い話題ばかりが容赦なく胸に刺さってきます。しかし、心のエネルギーが低下してしまうと身体のエネルギーの低下につながり、ウイルスに敗北してしまう可能性が高まります。「ふだんどおり」とは異なる状況が続くのは事実ですが、人間には置かれた状況に流されず前向きでいることを選ぶ知性があります。そのためにも、テレビやインターネットから濁流のように流れ込んでくる、気が滅入るような情報を時間や回数を決めるなどして遮断しましょう。

山田

あえて明るいニュースを探すことも、大切ですね。

枝廣

深刻な状況のなかにも、コロナに負けない助け合いや支え合い、新たな取り組みが世界中に広がっています。私は「こんな社会だったらいいな」「こんな世界にしたいな」という国内外の取り組みを集めて発信するサイトを立ち上げました。

山田

そのサイトも大変に素晴らしい取り組みだと思います。

枝廣

コロナの暗いトンネルの先にどんな世界や社会を描いておけるかが、「コロナ後」の私たちを導く灯になります。是非、前向きなニュースや素敵な取り組みを、周りの人やお友達とシェアしましょう。

山田

つながりを保とう(Stay Connected)。こちらもとても大切ですが、現状、外へ出て人と会ったり話したりすることが非常に困難です。

枝廣

物理的には距離を置くけれど、社会的には連帯していきたいですね。幸い、インターネットがこれだけ発達しているので、物理的な距離を保ちながら、お互いにつながっていることはできます。内にこもって気持ちを閉じてしまわないで、社会とのつながりを保つ姿勢が大事です。メールなどで知り合いに声を掛けてみる。それができない年配の方なども、電話を掛けてみたり手紙を書いてみたり、といった配慮でつながりを保てます。特に困っている方がいれば可能な範囲で助け合うことは、心に温もりや「しなやかさ」を育んでくれます。

山田

一人で悶々と不安を抱えて暮らしていると、心がどんどん暗くなってしまいます。物理的な距離はとりつつ、人と人が触れ合うことで心身ともに元気になるのが、社会的生き物としての人間の宿命です。
感謝の気持ちを忘れずに(Stay Thankful)。これも、人間が人間らしくあるために、欠かせないことです。

枝廣

今、この瞬間も、感染者の命を救うため必死に頑張っておられる医療従事者の方々がいます。食料品や生活必需品を配送してくれている方々もいます。本当に有難いことです。その方々に対して、感謝の気持ちを持つ。直接の機会がなくても、心の中で「本当にありがとう」と感謝の気持ちを持って、無事を祈る。それだけでも心の「あり方」は変わるものです。

コロナ禍を契機として、持続可能な社会づくりを一歩前へ。

山田

そして、最後は大事なことは考え続けよう(Stay Focused)で結ばれています。この部分にも共感いたしました。まさに私共も長年、この「大事なこと」を実現するために、自らの仕事を通じて、考え、学び、実践してきました。

枝廣

「コロナで大変だから、それどころじゃない!」という悪魔のささやきに惑わされずに、大事なことは大事なこと、として平時と同じように深く考え続けることが非常に重要だと思ったので最後に挙げました。地球の気候変動も海洋プラスチック汚染も貧困の連鎖も「休戦」してくれるわけではありません。逆に、ウイルス感染拡大のために悪化していく社会課題もあります。「本当に大切なことは何なのか?」「今回の危機が去った後、どういう社会になるべきか?」を考える。考え続ける。そして、それを周りの人たちと話し合ってみる。これまで無関心だった人も、今回の災禍をきっかけにして「このままではいけないのでは?」と思い始めているかもしれません。

山田

おっしゃる通りだと思います。このコロナ禍が、再び私たちにとって真に大切なものを考える機会になることを願っています。

枝廣

例えば、今回のコロナ危機に対処する名目で「常態とは異なる」金融政策や経済政策がとられようとしています。人々の雇用や生活、企業を守るためには必要な政策なのだと思いますが、私がいちばん恐れていることは、いったん危機が去ったら、ほとんどの国が、企業が、猛烈な勢いで再び「経済成長」にアクセルを踏むであろうことです。その加速をもたらしうるガソリン(=資金)が十分に供給されるとしたら、このことが地球環境にもたらす悪影響は計り知れないほど大きくなるのではないか…。

山田

私もそれを危惧しています。かつて枝廣さんは洞窟の熊≠フ逸話を書かれていましたね。人間の脳の神経系は、洞窟の入口にいきなり熊が現れた、といった突発的な危機には迅速に反応するようにできているが、例えば地球の気候変動のようにゆっくりじわじわと進行する、そんな見えにくい・わかりにくい危機は人間の脳をただちに駆り立てる緊急性を持ち合わせておらず、気がついた時には手遅れになってしまう。

枝廣

喉元過ぎれば、というのが人間の本能かもしれませんが、この試練を乗り越えた後こそ、人類の叡智が試されると思います。

山田

山田養蜂場は創業以来、「常に一人の人のために」という精神を大事にしてきました。私たちの事業の転換期は、創業者が病身の娘の健康回復を願って、本格的なローヤルゼリーの生産に挑んだことにあります。また、かねてより、養蜂業の主役であるミツバチたちが突然大量に消える蜂群崩壊症候群という問題が世界各地で起きており、地球環境汚染や気候変動が原因ではないか、とも言われています。この事態を受けて、山田養蜂場では再生可能エネルギーの導入や植樹活動、次代を担う子どもたちへの環境教育といった取り組みを続けてきました。これも、「子どもたちの子どもたちの子どもたちのために」という次世代に豊かな自然資産を残したいとの願いからです。自分ではない誰かの未来のために。新しい世界を創造する人類の進歩は、これに尽きるのではないでしょうか。

枝廣

事態が収束することを強く願いつつ、こういう時だからこそ、自分にとって本当に大事な「かけがえのない一人の人」、ふだんは気がつかないが大事なことをしっかり見つめ直し、深めて考え、これまでやってこなかった新しい「あり方・やり方」を試し、仕組みを変えることで世界に貢献できたら、と心から願っています。

山田

当社も人類の未来のために、持続可能な環境や社会づくりのために、「アピセラピー(=ミツバチによる伝統的健康法)」の新たな可能性の発見に全力を注いでまいります。今日は貴重なお話、ありがとうございました。

枝廣 淳子(えだひろ じゅんこ)
(幸せ経済社会研究所所長、大学院大学至善館教授)
東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。『不都合な真実』(アル・ゴア著)の翻訳をはじめ、環境・エネルギーなどの講演や執筆、異業種勉強会、社会的な合意形成のファシリテーション、地方創生のプロジェクト等に携わる。
枝廣 淳子さん
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