健康食品、化粧品、はちみつ・自然食品の山田養蜂場。「ひとりの人の健康」のために大切な自然からの贈り物をお届けいたします。
渥美 和彦氏×山田 英生対談
戦後の経済発展と科学技術の進歩によって、私たちの暮らしは昔に比べ格段と豊かになり、便利で快適な世の中になりました。 その一方で、家庭では少子化や核家族化が進み、親子の問題や介護、育児などの悩みが増え、職場ではIT化や複雑な人間関係なども加わって多くの人たちがストレスを抱えています。 そのため、「自律神経失調症」や「燃え尽き症候群」、「テクノストレス症候群」「うつ」など現代社会特有の心の病などが多くなった、といわれています。
確かに現代は、ストレス社会といってもよいでしょう。 今の日本は、情報化が進み、何となくせわしなく、人間関係も希薄で索漠としています。 こうしたストレスは万病の元であり、ストレスの多い社会は、病気の多い社会といっても過言ではありません。 そのせいか、私たちの周りには、「健康か」といえば、そうでもない、かといって「病気」ともいえない半健康、半病人の人が増えてきました。 例えば、「頭が重い」、「イライラする」などの不調を訴え、病院で診てもらったら「特に異常ありません」。こんな人が意外と多いようです。 何が悪いかといって、ストレスほど体に悪いものはありません。私たちが大病にならず、健康で元気に生きて行くためには、まず日常生活の中でストレスを溜め込まないことが第一です。
おっしゃる通り、ストレスは現代人にとって最大の敵ですよね。 最近、病院を覗いてみると、どこも朝から待合室は診察を待つ患者さんであふれています。 予約せずに行けば、2時間、3時間待たされるのも珍しくないようです。 診察をする医師も分刻みで対応に追われ、診療科によっては1日50人、100人以上の患者さんを診察する医師もいる、と聞きました。 しかも、患者さんの中には、風邪のような軽症でも高度で専門的な医療体制を備えた大学病院や大きな総合病院に足を運ぶ人も少なくないようです。
多いですね。
また、「コンビニ受診」といって、急病や重症でもないのに休日や夜間に診察に訪れる人や、救急車をタクシー代わりに呼ぶ患者さんも後を絶たない、ともいわれています。 これでは、本当に救急処置を必要とする他の患者さんの診察にも影響が出かねません。 どうも私には、病院が現代の「駆け込み寺」になっているように思えてなりません。 なぜ、こうも医師任せ、病院頼みの人が多いのでしょうか。
患者さんは病院に行けば、すべて治してもらえると思っているからではないでしょうか。 でも、実際はそんなことはありません。 患者さんが病院や私たち医師のことをたいへん信頼してくださっているのは、よく分かりますが、一般的に病院で行われている医療は必ずしも万能とはいえません。 「人体」という超精密機械の仕組みは最新の医学をもってしてもまだ十分解明されておらず、病院には、できることもあれば、できないこともあるのです。 数値に現れない体調不良や原因の分からない不定愁訴などは解決しにくい病気の一つといってもよいでしょう。 「医師が何でも治してくれる」「病院に行けばすべて解決してもらえる」と考えるのは、患者さんの幻想に過ぎませんね。 医師の世話にならずに済むことまで、医師の世話になろうとしていることに問題があるように私には思えます。 自分でできることは、まず自分ですることが大事です。
中国に「隗(かい)より始めよ」という故事がありますが、自らの健康のための工夫は、自分から始めることが大事ですね。 自分でできることといえば、「食事は腹八分目にする」、「過剰な糖分や塩分は摂り過ぎない」、「適度な運動をし、タバコは吸わない」というような健康な生活習慣を続け、病気にならないように予防することではないでしょうか?
そうです。それと、医師が万能でない以上、「病院にはできることと、できないことがある」ことをよく理解し、「医師に任せること、任せないこと」を見極め、自分でできることは可能な限り自分ですることです。 医療は、医師と行政、患者が三位一体になって行うものであり、今の医療では医師と行政側に多くの問題があるのはいうまでもありませんが、医療を受ける患者さんも病院や医師にただお任せするだけでなく、「自分の健康は自分で管理する」という意識改革が必要です。 何でも病院が解決してくれるという患者さんの意識が変わらない限り、日本の医療はよくならないでしょう。
そう思いますね。私たち患者側も、一般の消費者と同じように賢くならなければなりませんね。 医療は、サービス業でもあるのに、これまでの病院はどちらかといえば事務的な対応で、冷淡な印象さえありました。 患者側は医療を施してもらうという受け身の立場であり、いろんな不満や不安があっても、じっと我慢するしかありませんでした。 でも、最近の病院は総じてサービス面やスタッフの対応が「変わったな」、「よくなったな」という印象を受けるのですが…。
そういえば、そうですね。昔は患者さんは、医師のいうことをまるで神のご神託のように黙って受け入れるのが当然という風潮がありました。 まかり間違っても医師に自分の意見をいったり、異論を唱えるなどもってのほか、という時代もありました。 しかし、今はインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)もきちんと行われ、セカンドオピニオンに見られるように患者さんが、他の医師にも意見を求め、それを参考にしながら治療法などを選ぶ時代です。
確かに時代は変わりました。「変わった」といえば、病院の外観も例外ではありません。 一見、高級ホテルと見間違うほどの豪華な内装や個室。 これまで「冷たくて、おいしくない」と不評だった病院食も、患者さんの嗜好に合わせ、格段とおいしくなりました。 素っ気なかった病院スタッフの対応も、言葉遣いをはじめ接客マナーがとてもよくなったような気がします。
私もそんな印象を受けますね。 これまで病院は、医療技術を施す場であり、サービス面は二の次という感じでしたが、最近になって「医療もサービス業」と捉え、一般のサービス業と同様に「ホスピタリティー」や「おもてなし」をやっと意識し始めたのではないでしょうか。
そうしないと、病院は生き残れないと多くの経営者の方々が気づいたのかもしれません。 超高齢化に伴って高齢者が急増し病院のお世話になる人が増える中、これからは患者さんへの癒しがトレンドとなり、心のケアが欠かせないと病院側も考えたのでしょう。
病院内で、患者さんが満足感や安心感などのQOL(生活の質)を保つことは、病気と向き合ううえでとても大切ですからね。
日々辛い立場にある患者さんに寄り添ったケアが必要ですね。 話しは変わりますが、今、日本の医療には年々膨らむ一方の国民医療費や危機にある健康保険制度などの問題が山積しています。 とりわけ、国民医療費は、超高齢化や医療の高度化が進む中、年2〜3%の割合で増え続け、2012年度は39兆2117億円といわれています。 厚労省の試算でも、団塊世代が75歳を迎える2025年には52兆円を超える、と聞きました。 日本の財政への深刻な影響と国民の負担増を避けるためにも、医療費の削減は待ったなしですね。
確かに増え続ける医療費が、国家財政を圧迫し、国の根幹を揺るがしかねないところまできているのは間違いありません。 特に65歳以上の医療費は、全体の半分以上を占め、これからさらにお年寄りが増えれば、医療費はさらに膨らむでしょう。 私はこれまで世界各国の医療現場を見てきましたが、「誰でも、安くて質の高い医療をいつでも受けられる国」は、まず日本をおいて他にはないでしょう。 こうした日本のすばらしい国民皆保険制度を維持するためにも、予防医療を中心とした「病院に頼らない医療」が欠かせません。 それには、これまでの西洋医学一辺倒を見直し、西洋医学と伝統医学や鍼、灸、ハーブ(薬草)、健康食品などの代替医療を融合した「統合医療」を積極的に進めることが医療費削減のカギを握っていると思います。
同感ですね。今後、先生は具体的にどんな活動を考えておられますか。
3年前の「3・11東日本大震災」では、私たちは医療のあり方を含め、実に多くのことを学びました。 この経験から、これからの社会は、だれもが健康で長生きできる「未来共生健康社会」と位置づけ、そのための組織として「未来健康共生社会研究会」をつくりました。 その狙いは、転換期を迎えた日本の医療を、「予防医学」「エコ医療」「セルフケア」―の3つの考えを柱とした医療に変えることです。 私は、こうした方針に沿って、新しい健康医療産業を創出するための活動を考えています。 日本の中小企業の技術力、開発力を生かし、国民の衣食住のニーズを総合的に捉えた健康産業は、次代の産業の一つの核になると考えています。