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ミツバチの童話と絵本のコンクール

幸せのハチミツ

受賞藤田 百合香 様(香川県)

 ここは、ある小さな町の町はずれにある、小さな養蜂場。この養蜂場では、千〜二千匹ぐらいのミツバチたちが毎日忙しく飛びまわっています。
 ビィも、この養蜂場のミツバチです。
 ビィは、ある時ふと思いました。
「ぼくたちが集めたハチミツをおじさんが集めにきて、それをどこかへ持っていって…そのあとハチミツはどうなるんだろう?」
 いつも、おじさんは毎日だいたい決まった時間に集めにくるのですが、それをどこかへ持っていって…次にくる時には、そのハチミツはもうないのです。ビィにはそれが不思議でたまりません。
「そうだ、いいこと考えた!!」
 ビィは、ハチミツの行き先を自分で調べにいくことにしたのです。
 次の日、いつものようにおじさんがハチミツを集めにきた時、ビィは小さな黄色い花びらを、そのハチミツの中にこっそり入れました。自分がとってきたハチミツだということが分かるように…と考えたのです。
 また次の日の朝早く、ビィはともだちに「ちょっといってくるね」といって、ハチミツをとりにいったふりをして町のほうへ飛んでいきました。しかし、小さな町といっても、ミツバチにとってはけっこう広いもの。ただ飛びまわるのでは、あっという間に日が暮れてしまいます。
 でも、だいじょうぶ。ビィは、前に、「このハチミツは町にいくんだよ。町の小さな八百屋さんは古くからのおとくいさんでねぇ。…」とおじさんが話していたのを覚えていました。だから、ビィは『小さな八百屋さん』をめざして飛んでいけばいいのです。
「あっ、あそこかな!?」
 町についてすぐ、八百屋さんを発見しました。でも、とても大きな八百屋さんです。とりあえず中へ入ってみます。
「あっ、ハチミツ!!」
 ハチミツがありました。花びらが入っていないか、一つ一つ確かめましたが、花びらが入ったハチミツは見つかりませんでした。
「まだ探し始めたばかりだもんっ。」
 ビィはあきらめず、小さな八百屋さんを探します。
 お昼すぎになって、もうくたくたになったころ、ビィはようやく小さな八百屋さんを発見しました。
「きっとここだ!!」
 ビィは急いで中に入ってハチミツを探します。
「これだ!!」
 ついに見つけました。小さな黄色い花びらの入ったハチミツ…まちがいなくビィのハチミツです。
「いらっしゃいませ。」
 そこへ、女の子とお母さんがやってきました。
「今日のおやつはなぁに?」
「あててごらん。」
 そんな話をしながら、ビィのほうへ近づいてきます。ビィは、さっとかくれました。
「今日はねぇ、これを使ったおいし〜いおやつ!!」
 お母さんが手にとったのは、ビィの、花びらの入ったハチミツでした。
「あっ、ぼくのハチミツ!!」
「ありがとうございました。」
 女の子とお母さんがお店を出ていきます。ビィはついていくことにしました。
「お母さん、このハチミツ、花びらが入ってるよ。」
「あら本当。すてきね。」
 家につき、女の子とお母さんは中へ入っていきます。ビィも気づかれないように、そっと入っていきました。
「じゃあ、作ろうか。」
 お母さんは、ボール、おたま、フライパン、フライ返し、小麦粉、砂糖、卵、牛乳、そして、ビィのハチミツを用意しました。
「なんだ、ホットケーキ?」
「でも、ただのホットケーキじゃないの!!」
 お母さんは、手ぎわよくホットケーキを焼きます。しばらくすると…とっても甘くていいにおい。ほら、できあがり!!
「いただきま〜す。」
 女の子がホットケーキを一口パクッ。
「わぁ、今日のホットケーキ、すっごくおいしい。」
 女の子が笑顔になります。
「ほらねっ!」
 お母さんも笑顔になります。そして、そんな二人を見て、ビィも思わず笑顔になります。
「今日のホットケーキはハチミツ入り。ハチミツは体にもいいし、甘くてとってもおいしいでしょ。」
「うん!ハチミツってすごいね。だって、ホットケーキにちょっと入れただけで、いつもよりもっとも〜っとおいしくなっちゃうんだもん。まるでまほうみたい!!」
「まほうかぁ…。」
 ビィはとってもうれしくなりました。

「あれれっ、ミツバチがいる!!」
 ビィはびくっとしました。女の子に見つかってしまったのです。
「そうだ、ぼく、こっそり入ってきてたんだった!!ごめんなさ〜い!!」
 ビィはにげようと、どこかあいている窓はないか急いで探しました。
「ねぇ、待って。」
 お母さんがビィを手招きしています。ビィは、テーブルの方へ飛んでいきました。
 お母さんが、ビィを見ながら女の子に言います。
「あのね、さっき、『ハチミツってすごいね!!』って言ったよね。そんな、すごいハチミツを集めてくれるのは、こんな小さなミツバチなのよ。ミツバチのおかげで、こんなにおいしいホットケーキが食べられるんだよ。」
 ビィは、なんだかてれくさくなって下を向きました。
 ビィをしばらく見つめて、女の子が言いました。
「ありがとう!」
「えっ!?」
 ビィは、女の子を見つめ返しました。女の子はにこにこしています。ビィの顔がかがやきました。ハチミツを、「おいしい」「まほうみたい」と言ってくれた上、お礼まで言われたのです。
「さっ、そろそろ外に出してあげようね。」
 お母さんが窓をあけてくれました。ビィは、女の子とお母さんに何度も何度も頭を下げながら帰っていきました。帰る途中に、花畑に寄っていきました。今日の分のハチミツ集めです。はりきって、いつもよりたくさん集めました。ビィは、幸せな気持ちでいっぱいでした。
「おそかったじゃない。そんなに笑顔で、いったいどうしたの?」
 ともだちのミツバチたちが、ビィのまわりに集まってきました。
「えへへ。じつはね…」
 ビィは、今日あったことを話しました。ハチミツを「まほうみたい」と言ってくれたこと、お礼を言われたことを話すと、みんなの目が輝きました。
「ぼくもいってみたい!!」
 そんなミツバチがたくさんいました。ビィはみんなに、「花びらを一枚入れておいて、あとは町の小さな八百屋さんめざして飛んでいけばいいんだよ。」と教えてあげました。
 おじさんがハチミツを集めにきました。ミツバチたちは、ピンクやらオレンジやら小さな花びらを一枚ずつ、こっそり入れていきます。そして、次の日にはみんなでいっせいに町へ飛んでいくのです。ピンクの花びらの入ったハチミツは一人暮らしのおばあさんの家へ、オレンジの花びらの入ったハチミツは動物園へ、それぞれいろいろなところへいきました。夕方になると、みんな笑顔で帰ってきます。
「私のハチミツ、おばあさんがハチミツミルクにして飲んでくれたの。『あったまるな…』『おいしいな…』って!!」
「ぼくは動物園にいってたんだ。くまさんが食べてたんだけど、『毎日毎日人がたくさんきてつかれちゃうよ。でも、ハチミツを食べたら元気がでるんだ!』って!!くまさんとともだちになっちゃった。」
 みんな口々に話します。とってもうれしそうです。
 そんな様子を、養蜂場のおじさんは見ていました。最初は、花びらが入っているのは風のせいかな?と思っていましたが、ビィたちのことを知ってそのままにしていたのです。
 もう一人、ビィたちをやさしいまなざしで見ている人がいました。町の小さな八百屋のおばさんです。おばさんも、ハチミツに花びらが入っている理由、それを追ってミツバチが毎日来ていることを知っていました。今日養蜂場からもらってきたハチミツにも、ほら、小さな花びらがたくさん入っています。
 お客さんがやってきました。
「んっ?『幸せのハチミツ』?…花びらが入ってるのか。いいなぁ…」
 手にとってしばらくながめたあと、それを買って帰っていきました。一匹のミツバチがあとからついていきます。
 『幸せのハチミツ』。これは、この八百屋のおばさんがつけてくれたものでした。今までは『ハチミツ』だったラベルを、ビィたちが来るようになって『幸せのハチミツ』に変えたのです。
「し・あ・わ・せ下さいな!!」
 今日も八百屋へ来る人は、ビィたちの「幸せのハチミツ」を買っていきます…。

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