健康食品、化粧品、はちみつ・自然食品の山田養蜂場。「ひとりの人の健康」のために大切な自然からの贈り物をお届けいたします。
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カッコウのさえずりが響く、緑いっぱいの湖のほとり。
そこに、ぽつんとミツバチがいました。
「はあ」と、小さくため息をついています。
A
そこへ、モモンガがひらりと飛んできました。
「あれ? ハチさん、どうしたの? 元気がないね」
「羽をけがして、飛べなくなっちゃったんだ」
「それは大変! ねえ、気分転換に一緒に出掛けない? ぼくの背中に乗って!」
少し考えてから、ミツバチはモモンガの背中に乗りました。
B
木々のあいだを飛ぶモモンガの背中でミツバチは春の風を感じながらどんぐりの森へと向かいました。
C
森に着くと、リスがミツバチに親しげに声をかけました。
「わあ、ハチさん! いつもありがとう!」
「えっ、う、うん!」
何のことか分かりませんでしたが、ミツバチは思わずうなずきました。
森で休んだあと、リスに別れを告げてアブラナ畑へ向かいました。
D
花畑の中から、うさぎがひょこんと顔を出しました。
「ハチさんだ! 今日はお休み? いつも本当に助かっているよ! ゆっくり休んでね!」
「うん、ありがとう」
ミツバチはびっくりしました。しかしお礼を言われて悪い気はしません。
そして、ついつい笑顔になりました。
E
ミツバチを乗せたモモンガは雪がうっすらと残る山へ向かいました。
「ここで、ちょっと休憩しようか」
ふたりは白樺の木の枝に乗り、町を見下ろしていました。
すると、木の下から声がしました。
「ハチさん、いつもありがとう!」
見下ろすと、立派なツノのシカがこちらを見上げています。
「ううん、いいよ!」
ミツバチは何のことか分かりませんでした。
けれど、「ありがとう」と言われるのは悪い気がしませんでした。
F
やがて太陽がてっぺんから少し落ちてきた頃、ふたりは一面にシバザクラが咲く花畑に着きました。
目の前には、まるで地球全部がピンク色になったかのような景色が広がっています。
「わあ、なんてきれいな場所なんだ!」
ミツバチは、思わず今日一番の大きな声を出しました。
「そうでしょ? ここ、ぼくのお気に入りなんだ。いつも頑張っているハチさんに見せたかったんだ!」
G
モモンガの頭に、ヤマガラがちょこんととまりました。
「ハチさん! いつもおいしい実をありがとう!」
「どういたしまして」
ミツバチはそう答えましたが、なぜ今日一日あちこちでお礼を言われるのかが分かりませんでした。
H
そこで、モモンガにたずねました。
「ねえモモンガさん、どうしてみんなは私にお礼を言うの?」
「おっと、知らなかった? ハチさんがいつも一生懸命花粉を運んでくれるからだよ」
「花粉? 団子にして巣に持って帰ってるだけなのに」
「そう! そのおかげで、花が実をつけるのさ。だから、みんな感謝してるよ」
「そうなんだ! 知らなかったなあ」
I
ミツバチは、自分がだれかの役に立っていたことを知って、心がぽかぽかして春の風の中で踊りたくなりました。
そして、けがをした羽をそっとなでながら、こう言いました。
「よし、明日からまた、お仕事頑張るぞ!」
