ミツバチの絵本コンクール

ヒマラヤのヤン

入選大日向 丞 様(神奈川県)

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ヤンは、ヒマラヤの中ふくにある、小さく、まずしい村に住む十五才の少年です。

A
ヤンは今とてもこうふんしていました。何故なら、村の一大行事でもある、ヒマラヤ大ミツバチのハチミツ採集に行く二十人の一人として初めて参加出来る事が決まったのです。

B  
ヒマラヤ大ミツバチの巣は、村からけわしい山道を二時間程登ったがけの岩肌にへばりつくようにあり、とても大きなものでした。

C  
「いいかヤン。今からなわばしごを巣の近くまで降ろすから、それを伝って降りろ。いいか、落ちたら死ぬからな。気をつけるんだぞ」
村長がヤンに少しきびしい声で言いました。

D  
「わかった。とりあえず降りてみるよ」
ヒマラヤ大ミツバチの巣の採集という初めて担う大役。切りたったがけを降りる恐怖感も彼をこうふんさせる一因なのかもしれません。

E  
厚手の洋服。目出しぼう。顔に何重(いくえ)にも巻いたタオルに手ぶくろ。ヤンは準備万たん。あとは、はしごを伝いおりてゆくだけです。

F  
「巣までついたよ。早くカゴをおろして」
「いいかヤン、巣は残さず採ってカゴに入れろ。巣を落とすのは一番もったいないからな」
村人達は、ひものついた大きなカゴをヤンの手元までおろしてゆきました。

G  
「痛いよ、痛い。ヒマラヤ大ミツバチにさされるのがこんなに痛いとは思わなかったよ」
鉄ベラで巣をこそぎとり始めたヤンに怒ったミツバツ達が、次々とおそいかかります。

H  
「がまんだ。がまんするしかないぞ、ヤン」
村人達にはげまされながら、痛みにたえ、ヤンは丁ねいにヒマラヤ大ミツバチの巣をこそいでゆき、カゴの中に入れてゆきます。

I  
「巣はあらかた採れたよ。カゴをあげて」
「わかった。お前もゆっくりでいいから上ってこいよ。足をふみ外したら大変だからな」
村人達は慎重にカゴを引上げてゆきます。

J  
村に戻った一行は、さっそくミツバチの巣にたまったハチミツを採りにかかります。
「ヤン、お前のお手柄だ。今年は大漁だぞ」
作業中の村人が手負いのヤンに言いました。

K  
ハチミツはビンにつめられ、村人全員に平等にわけ与えられました。村人の多くは、ふもとの町まで行き、それをお金にかえます。ヒマラヤ大ミツバチのハチミツは、ふもとの町では心待ちにしている人がいる程人気があり、かなりの高い値段で売れるのです。

L  
「これはお前ががんばってハチの巣を採ったくんしょうだ。えんりょせずに受取れヤン」
村長の手には、ハチミツのビンが二つ。
「今日からお前も一人前の男だ。今日の働きぶりを見て、村人みんなが認めてくれたぞ」

M  
「よくやったヤン。父さんもハナが高いぞ」
「こんなにあちこちはれあがって、よく落ちなかったよ。母さん本当に心配したんだから」
「痛くてたまらなかったけれど必死にふんばったよ。でももう一回位ならやってもいいかな」
ヤンはくんしょうを二つ両親に手渡しました。
おわり

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