ミツバチの絵本コンクール

ミツバチ ミリィと時計台

優秀賞橋本 俊幸 様(東京都)

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ある大きな森のそばに、とても綺麗なお花畑がありました。
ミツバチのミリィは、そこでお花の蜜を集めるお仕事をしています。

A
でも、そのお花畑は、あまり広くないので、すぐに蜜が無くなってしまいます。
そのために、ミリィは、ずっと遠くのお花畑まで出かけていかなければなりません。

B
「この大きな森の中に、広いお花畑はないのかしら?」
ミリィは、いつもそう思っていました。

C
でも、お父さんも、お母さんも
「あぶないから、絶対に森の中に入ってはいけないよ。
あそこにはカッチ カッチ ボーンという怖い怪物が住んでいるからね」と 言っていました。

D
ある日ミリィが、お花畑を飛んでいると、とつぜん強い風が吹いてきて、ミリィは遠くに飛ばされて、気を失ってしまいました。

E
しばらくして気が付くと、そこは、うす暗い森の中でした。
どこからか「ガチガチ ギギー……」と、気味の悪い音が聞こえます。
「ここは、あの怪物が住む森の中なんだわ」
ミリィは、怖くてしかたがなくなりました。

F
それでも、勇気を出して音のする方に行ってみました。すると、とても古い時計台がありました。

G
「ガチガチ ギギー、ガチガチ ギギー」
と 不気味な音をたてています。
でも、ミリィは、音の正体が怪物ではないとわかると、その「ギーギー」という音も、時計さんが苦しむ、かわいそうな声に聞こえてきました。

H
ミリィは、「大丈夫? 時計さん」
と 言いながら、そっと時計の胸の扉をあけました。
中の、振り子は止まっています。歯車も針もさびていて、やっと動いていますが、今にも止まりそうです。

I
「こまったわ。どうしよう。このままじゃ、時計さんが死んじゃうわ」
ミリィは一生懸命考えました。

J
そして、
「あ、そうだ」
と言うと、自分のお腹のあたりから、お花の蜜で作ったミツロウというものを出して、時計さんの歯車や針に塗ってあげました。
それから、動かなくなった振り子に向かって、小さな羽を一生懸命動かして、風を送りました。

K
ミツロウの塗られた歯車や針は、すべりが良くなってなめらかに動くようになりました。
音も「カッチ、カッチ、カッチ……」と軽やかな音がします。

L
大きな振り子も少しずつ動き始めました。
しばらくして、短い針と長い針が一番上の文字盤に重なりました。

M
「ボーン、ボーン、ボーン……」と お昼を知らせる大きな音が森中に鳴り響きました。
すると、どうでしょう。
真暗な森に、お日さまの光が差し込んで、森中の木にお花が咲きました。
飛ばされてきた花たちも立ち上がって、いっせいに花を開きました。
みるみるうちに明るく綺麗な お花の森になりました。
 
N
「ボーン、ボーン、ボーン……」
軽やかな時計台の鐘の音を聞いて、ミリィの仲間たちも、どんどん集まってきました。
もう遠くまで、蜜を集めに行かなくてもよくなりました。
ミリィの勇気と一生懸命な優しさが、みんなを幸せにしたのでした。
おしまい

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