ミツバチの絵本コンクール

ぼくは888

最優秀賞のんのん 都 様(東京都)

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ぼくの名前は888。
ハッピャクハチジュウハチじゃなく、8が3つのハチミツだ。
人よんで、スーパートリプルエイトとは、ぼくのことさ。
どんな食べ物もグーンとおいしくして、だれをも笑顔にする不思議な力をもっている。

A
ぼくのふるさとは、山のふもとのアカシアの森。

B
たくさんのミツバチたちに少しずつ集められて、ねかされて、あまい、あまい、金色の888になったのさ。

C
今、ぼくは町のレストラン、「ハニー」でおじさんとおばさんと暮らしている。はちみつ料理を食べに、毎日いろいろなお客さんがやってくる。

D
「ハニーレモンスカッシュ、4つと、ハニーマスタードチキンが3、しょうが焼き、1です」と、おばさんの明るい声。
「ハイよ」ウキウキしたおじさんの声。

E
おじさんは、ガラスのコップをならべ、レモン汁と888と氷とサイダーをそそぐ。それから888としょうゆと粒マスタードをまぜたタレに鶏肉を、888としょうゆとお酒としょうがをまぜたタレに豚肉をつけこんだ。
どれもこれもぼくの出番だ。

F
「さあ、おいしくなーれ。おいしくなーれ」
おじさんの呪文でおいらは元気100倍。
すっぱいレモンちゃんとは、いつものあまい、くるくるダンス。
お肉はつついて、くすぐると大笑いしてやわらかくなる。
ジュージュージュー、香ばしいニオイがたちこめる。

G
ある寒い日、お店に見かけぬお客さんがやってきた。
フードつきの長いコート、毛皮のブーツと手袋に白い大きなマスクをして、細い目だけが光っている。すみっこの席に背中を向けてすわると
「は・ち・みつ・ホットミ・ルク」と小さな声で注文した。

H
ちょっと、あやしいお客さん。
おじさんもおばさんもキョロキョロとのぞきこむけど、
お客さんはコートもマスクもはずさない。手袋もしたまま、両手でカップをはさんでいる。そして、みんながちょっと目をはなしたすきに、一瞬、マスクをずらしてミルクを一口。

I
「うわー」
888だけが見たその顔は、口が耳までさけた山のケモノだ。

J
ケモノのノドはザラザラ真っ赤にはれている。ゴクンと飲み込まれた888ホットミルクは、金色のトロトロパワーで、ばい菌をやっつけ、荒れたノドのかべをなめらかにしてやったよ。

K
「ゴチ・ソ・ウ・サマ。コホン。コホン」
「お風邪ですか? ノドの痛みにはハチミツがよくききますよ。よかったら、これ、おまけです」
おばさんは、引き出しから、小さなハチミツのビンをさしだした。

L
お客さんは小さなビンを受け取り、お札を出した。おばさんが、おつりを計算して振り返ると、お客さんもお札もなく、葉っぱが一枚だけ残っていた。

M
しばらくして、レストランの前にアケビと山ブドウがドッサリおいてあった。
「おいしいミルクとハチミツありがとう。ノドもすっかりよくなりました」と手紙があった。

N
「この前のお客さんかな?」おじさんとおばさんは顔を見合わせ、ぼくをナデナデした。ぼくは、いっそうピカーっとかがやいた。

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