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予防医学〜病気にならないために〜第3回

山田 :  納豆まで食べているとは驚きましたね。話は変わりますが、この前、貴州省の隣の雲南省に行ってきました。省都・昆明から東に約230キロ入った羅平県というところで、世界最大の菜の花とそこに居る養蜂家に会いに行ったのですが、何十キロも続く菜の花畑は、それは見事なものでした。

家森 :  それは見事なのでしょうね。

山田 :  それに、雲南地方は多様な気候と豊かな自然を反映してか、非常に珍しい植物が多いですね。湿度が10%以下という高原地方では「岩蜜」とか「皇蜜」と呼ばれる、滋養強壮の効果も高く、栄養豊かで珍重された蜂蜜が採れるようですし、多様な気候が生薬の宝庫と呼ばれる独特の風土を作っているのでしょう。

家森 :  その通りです。貴陽の人は大豆を原料にした日本にはない、うどんのような豆腐麺を豆乳の汁で食べています。また、畑があまりありませんので、山菜をよく利用しています。抗酸化栄養素であるシソの葉を裏庭から取ってきては、毎日煮込んで食べています。だから動脈硬化になりにくいんですね。

山田 :  豆腐をよく食べるところは沖縄とよく似ていますね。

家森 :  沖縄の人は、全国平均の1.5倍は豆腐を食べているでしょう。「島豆腐」と呼ばれているものですね。本州の豆腐より大きく、やや固めですが、その分たんぱく質もミネラルもたっぷりです。それと沖縄の人が長寿なのは、塩分の摂取量が極めて少ないためです。だから脳卒中も少ない。1日に取る量は8〜9グラムで、日本人の平均が12グラムですから、かなり少ない。なぜ少ないかといえば、肉の食べ方に理由があるんです。沖縄の人は豚肉をよく食べますが、ゆでこぼして食べるんですね。亜熱帯の地域ですから、塩をたくさん振って肉を塩漬けにして保存しています。そのままでは、塩辛くて食べられませんので煮ることによって塩を抜いているんです。煮れば塩だけでなく脂も同時に抜くことができますから。

山田 :  なるほど。実に理に適っていますね。

家森 :  本当にすばらしい食文化です。それに加えゴーヤのような抗酸化栄養素の多い野菜をたっぷり食べているのも、また健康にいいんです。だから高血圧も、高脂血症も少なく、動脈硬化にもなりにくい。長生きができるはずですよね。

山田 :  沖縄といえば、本土復帰した翌年の1973年に、父が宮古島に養蜂場を作りました。暖かいところだと、ミツバチが増えるのを利用して、春先のまだ寒い時期は、宮古島で数を増やし、それをフェリーで本島まで運び、採蜜していました。その関係で子どものころから沖縄に行く機会も多く、沖縄の料理もよく食べました。今でも好きですよ。

家森 :  ところで、先生は20年以上、世界各地を飛び回っておられますが、その旅を通してどんな発見がありましたか。また脳卒中ラットの研究でつかんでおられた食事と健康の関係は、証明されたのでしょうか。

家森 :  はい。まず世界の長寿地域には共通の秘訣がありました。肉はゆでこぼして食べ、食塩の代わりに香辛料を使っていました。また魚や野菜、果物をたっぷり取り、イソフラボンを含む大豆に加え、健康によいヨーグルトもよく飲んでいました。またシルクロードやコーカサス地方のお年寄りが毎日、元気に生活を楽しんでおられるのには感心しました。その秘訣は食にあります。野菜を食べ、ヨーグルトを飲んでいますから、おなかの調子がいい。快食快便ですから、おいしいものが食べられる。そうすれば、人生が楽しくなりますよね。しかも日本と違って大家族で、食卓の中心にはいつも長老がいて、楽しそうに語らいながら食事をしていました。カラダの栄養だけでなく心の栄養も大事であることを痛感しましたね。




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