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さて、「ハルやベーカリー」のハルさんとつるへいさんが想像したとおりスズラン商店街の人たちになりすまして葉っぱのお金でハチミツパンを買いにやってくるのはお稲荷さんをおまつりしてある森に住んでいる若い狐でした。
森にスズラン商店街から風にのっていろんなにおいがフワフワとやってきました。もうそれはおいしそうな、でもいったいなんのにおいなのか、若い狐にはわかりませんでした。それで、いつもお稲荷さんのおやしろの奥で一日中ねてばかりいる長老狐にきいてみました。
自分でも何才になったのかわからないという全身がまっ白の長老狐はよっこらしょと体をおこしました。そして、鼻をヒクヒクと動かして、これは魚正鮮魚店にサンマが入ったなとか、三村精肉店のメンチカツが揚ったぞといいます。
わしもおまえくらい若いころはな、町まで出かけてサンマもメンチカツもいただいたもんだ。長老狐は若い狐に自慢しました。
どうやっていただいたんですか、教えて下さいと若い狐がいうと、それは奥の手を使うんじゃよといいました。
奥の手、教えて下さいと若い狐は頼みました。
長老狐は落ちていた柏の葉を一枚、まっ白な頭にのせて、ひい、ふう、みいといってでんぐり返りをやりました。すってんころりん。
「あいた、た、た」
でんぐり返りは失敗です。
「年はとりたくないもんだな。つまりこうやって人間にちょいと化けてサンマやメンチカツをいただいたってわけなんじゃよ。
しかし若いの。いっとくが狐はあぶらげをいただいておればこうして長生きができる。人間が稲荷大明神に上げて下さるあぶらげが一番なんじゃよ」
なるほどと、ありがたい長老狐の話に若い狐はなっとくしておりました。
でも、ある日のこと、風にのって「ハルやベーカリー」のパンの焼けるにおいが森にやってきました。それはそれは思わずゴックンとつばをのみこむほどおいしそうなにおいでした。
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