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「おばさあん、おばさあん、ここだよう」
ぼくは、のどがちぎれるくらい、大声でさけびながら歩き出した。
「まよったの?」
ふいに背中の後ろから声がして、ぼくはとびあがりそうになった。涙でぐちゃぐちゃになった顔で振り向くと、男の子が立っている。
「道、道がわからなくなって」
ぼくはあわてて、顔をぬぐった。
「大丈夫。ぼくが連れてってあげるから」
「ありがとう」
白いランニングシャツと半ズボンから、日に焼けたひょろ長い手足がのびている。ぼくよりひとつかふたつ、年上かもしれない。きっと、この山の近くに住んでいる子だ。
「きみ、どこから来たの?」
ぼくはとなり町から来たこと、母さんが丘の上の療養所にいることを話した。
「ふうん。病気なの。大変だな」
男の子はちょっと大人びた言い方をした。
そして急に振り返ると、うれしそうに
「あっ、でも、きっと君の母さん、治るよ」
と言った。
「だって、この山には、病気がよくなるものがたくさんあるもの」
「ほんと?よくなるものって、何?」
ぼくは思わず、聞き返した。
ケーンターアアアア。一本道の向こうからこだまみたいな声がひびいてきた。
「おばさんの声だ。行かなきゃ」
「あれ、君のおばさん?でかい声だな」
男の子はきゅっきゅっと笑った。
「じゃあ、明日、教えてあげる。入口のそばの大きな切り株で待ち合わせしよう」
そう言うと、男の子はあっという間に山の奥へ入っていった。
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