初めてだぞ、友達と病院に来るのは。なんだかドキドキするね。
女のひとに案内された吉井くんの病室は、子供ばっかりの四人部屋。
「やっぱり窓際なんだ」
色紙とマンガとお菓子を受け取った吉井くんは、ありがとうと言いながら、泣いてるような笑っているような、変な顔をしてる。
「おばさんは?」
「病院の中にいるよ」
ぐうっと色紙に顔を近づけている吉井くんを、三人で囲んだ。
「『がんばって』が八人もいるね」
「工夫がないよね」
「『窓からひこうき飛ばすなよ』が十二人いる」
「あーみんな、思ってるんだ」
「いつから学校に来れるの?」
吉井くんは
「うー」
と犬みたいにうなって、わかんない、と言った。
「吉井くんって、ずっと机の中にぼろい紙ひこうき入れてるよね」
なんで今、そんなこと言うの?
「火曜日の二時間目が、いいんだ」
吉井くんは、掛け布団を鼻の下まで引っ張り上げた。
「体育やってるクラスがないからさ。ひこうき取りにいってさ。誰もいない校庭を走るんだ。みんな勉強しているのにさ。気分いいんだ」
吉井くんはこれから先、だんだん歩くことのできなくなっていくことを、クラスのみんなは知っている。
「また、やりたいなあ」
「いつも仲良くしてくれて、ありがとうね。落とさないでね」
おばさんは、ぼくらに小さな紙袋をひとつずつくれた。
「あー、はちみつだ」
ガラスびんは、はちみつがいっぱいで、金ぴかピカピカ。
「そ、はちみつ。うちでつくったんだよ」
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