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校舎から出た夏奈の足は、自然とあのミツバチのいる、花壇へ向いた。
さっきより足取りは軽い。だから、地面に溜まった雨水が、ばしゃばしゃ、とはねた。夏奈は、お母さんに怒られることを確信した。
花壇に着いた夏奈は、驚くべき光景を眼にした。
ミツバチたちの乗っている夕顔が、虹色になっているのだ。夏奈が眼をこすってみても、変わらない。夏奈はこの不思議な光景を、ずっと見ていることにした。
しばらくして、ミツバチたちが、夕顔の蜜を吸い始めた。すると、不思議なことに、夕顔の色がどんどんなくなって、ミツバチに移っていく。
「わぁっ!」
夏奈は、思わず声を上げた。
ミツバチたちが、一斉に飛び立つ。ミツバチたちが飛び立ったあとには、一匹一匹の、赤やピンクの色が残っている。七匹のミツバチが飛び立ったあとには、虹ができているのだ。そして、その虹が出たところは、切り開かれたように、青空が見える。
夏奈は、この様子を瞬きするのも忘れてじっと見詰めていた。ミツバチたちは、地球の丸い形にそって飛んでいく。雨上がりの空に、大きな虹ができた。
「すごーい!ちょうきれい!」
夏奈は、思わずこういった。
もうすぐ、夏が来ようとしている。
夏は、夏奈の大好きな季節だ。夏の、あの真っ青な空が、暑さをものともせずに働いている虫たちが、宿題先にやるぞ!と張り切っている夏が、夏奈は大好きなのだ。
夏奈は、夏への第一歩にふさわしい虹だ、と思った。そして、
「ミツバチさん、素敵なプレゼントありがとう。」
と、大きな虹に向かっていった。
明日は、夏奈の誕生日だ。虹色のミツバチは、空から夏奈へのプレゼントだったのかもしれない。
夏奈はもう一度、虹を見た。間違いなく、美しいと、思った。
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