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その日の夜、一人でじっくり考え直した。私がなにをしたいのか、まだ子供だけど、今やりたいこと、あこがれること。そして由実にあやまろうと思った。じゅくの宿題をすっぽかして、その日はぐっすりねた。
「亜夜夏、早くおきなさい。学校おくれるわよ」
「はぁ〜い、今、いくから」
朝ごはんをいつもより早めに食べて、由実にあやまる練習をした。学校の授業はぜんぜん頭に入らなかった。由実にあやまるチャンスがなくて、今日は、ムリだなって思った時、
「亜夜夏、今日、学校終ってから、ウチ、きてくれる。」
「へ、いいけど」
びっくりした。由実に声かけられて、あんなに、きん張したのはじめてだ。
由実ん家のげんかんで三分ぐらいかたまってた。
「ピンポーン」
「はーい、あ、亜夜夏、入って、入って」
由実の声は意外にあかるかった。
「あ、いいにおい」
私の大好きなハチミツのにおいがほのかにした。
「いまね、ケーキ焼いてるの、亜夜夏ハチミツ好きだったよね、ハチミツのロールケーキなんだけど」
「ふーんそうなんだ。」
「うん、それからさぁ、この間はさぁ、ごめんね、かってに、熱くなっちゃって……」
「ううん、私の方こそ、ごめんね、由実の夢応えんするから」
「ありがとう。」
由実はニッコリ笑っていってくれた。うれしかった、すごく。
「チーン」
あっ焼けた。由実がロールケーキをきれいに、きりわけてくれて、私の前に出してくれた。
「練習に焼いてみたの、亜夜夏に食べてもらいたくて」
そっか、私のためにつくってくれたんだ。
「じゃあ、いただきます。」
ケーキを口の中にいれると、とっても甘くて、おいしかった。見た目は少しこげてたけど、由実にしてはよかったんじゃない。こんどは、私の番だ。私があやまる番。
「ねぇ由実」
「なに、あ、ケーキどうだった?」
「おいしかったよ、ちょっとこげてたけど。」
「あー、そうだよね。」
「でも、おいしかったよ。それより、あの……」
「なに?」
「ごめんなさい!」
「由実のケーキおいしかったよ。あんなにがんばってるなんておもわなかったから……」
「いいよ、もう。」
「ありがとう。」
うれしくて、私の目からなみだがこぼれた。
それから、私が由実の家に遊びに行くと必ずハチミツロールケーキを出してくれて、私たちは、それを、いつのまにか、『ハチミツロール』ってよぶようになってた。
あっそうそう、一ついいわすれてたことがあって、例の宿題、私の夢を書くやつ。
『私の将来の夢は、保育士になることです。』
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