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みつばちの童話と絵本のコンクール


「みつばちのおくりもの」
一般の部 佳作
広都 悠里 (群馬県)

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「じゃあ、はちみつのびんにラベルシールをはってもらうかな」
 家に着くと待ちかまえていたようにかあさんがどさんとシールの束を渡してくれました。
「しわにならないように、真ん中にね」
「はい」
「かんたんなことでよかったね」
 あゆみはちかにささやきました。
「うん。はちがぶんぶん飛んでいるところでなにかしろっていわれたらこわくてできないかもしれない、って心配だったんだ」
 ふたりは黄金色のはちみつがたっぷりはいったびんに「自然のおくりもの 純粋はちみつ」というシールを貼り始めました。れんげの花の絵がはいったかわいいラベルです。
「れんげのはちみつかあ。おいしそうだね」
 二人でどんどん貼っていきました。貼っても貼ってもびんはなくなりません。
「これ、全部やるの?」
 ジュースを持ってきてくれたかあさんにびんのはいった箱を指して聞くと、
「そうよ。それから貼ったびんはちゃんと箱につめてね」
 とすまして答えました。
「ひえー、まだ半分も終わってないよ」
「あら、今日一日で終わるわけないじゃない。ちかちゃんも五時には帰らないとね。おうちの人が心配するでしょうから」
「はい」
「ねえ、ひょっとして、これ、一週間くらいかかるんじゃない?あたし、もうあきたんだけど」
 あゆみがつぶやくとちかはまじめな顔をしてきっぱりと言いました。
「いいよ、あゆみちゃんはしなくても。あたしだけでもだいじょうぶ」
「あたしもやるよ。ちょっとつかれただけ。休けいね、休けい」
 あわてて言い訳しながらごろんと寝そべってちらりとちかの方を見ると、ちかは一生懸命な顔をしてシールを貼っているのでした。その様子はちかのおかあさんを思う気持ちそのものみたいであゆみは胸がちくんとし、あわてて起きあがると自分もシールを貼り始めたのでした。
「じゃあ、また明日」
 そう言って立ちあがった時、二人同時に「よっこらしょ」と言ったのがおかしくてそばにいたおかあさんまでもが、
「なんですね、二人とも子供のくせに」
 と、大笑いしたのでした。
  ラベルを貼りはじめて五日目、ついに最後の一つになりました。
「さあて、これで出荷できるぞ。ごくろうさん。これはちかちゃんの分」
 そう言ってとうさんはちかに最後のひとつのびんとラベルを渡しました。
「わあ。ありがとうございます」
 ちかはうれしそうに胸の前でびんをだきしめました。
「ちかちゃん特製って書けば?」
「うん」
 ちかはボールペンでラベルになにやら書き込むとびんにぺたりと貼りました。

 ひとなめで元気モリモリ 自然のおくりもの 純粋はちみつ

「こりゃあいい。きっとおかあさんも元気になるよ」
「はい。ありがとうございます」
「これね、土地の花のはちみつなの。ここらの山に咲く花のみつばかりを集めたオリジナルで、少ししかとれないから売り物にはしていないんだけど、きっとおかあさんに気に入ってもらえると思うわ」
 かあさんが小さなびんを渡しました。うす黄色のとろりとした液体はきっとなつかしい味と香りがするのでしょう。
「日曜日に、病院へ行くのでその時にわたします」
 ぺこりと頭を下げるちかの姿を見ながら、きっとおかあさんにラベル貼りの話しをするんだろうなとあゆみは思いました。
 月曜日、あゆみを見るとちかはうれしそうに手を振って走ってきました。
「おかあさん、だいぶいいみたい。あゆみちゃんちのはちみつを置いてきたからきっとすぐ退院だよ」
 うれしそうなちかの笑顔を見るとあゆみはさびしくなりました。
「どうかしたの?」
 不思議そうにちかが聞きました。
「だって、おかあさんが元気になったらちかちゃんは前のおうちに帰っちゃうんでしょう?せっかく仲良くなったのに」
「うん。だけどあゆみちゃんはずっと友達でいてくれるよね?」
「そりゃそうだけど、会えなくなるのは悲しいよ」
「会えるよ」
 いたずらっぽく目を輝かせてちかはあゆみの手をとりました。
「毎年、夏休みになったらおじいちゃんとおばあちゃんの所へ泊まりに来るよ。そしたら、あゆみちゃん、遊んでくれる?」
「もちろん!」
「三崎はちみつのラベル貼りも、やらせてくれる?」
「ごほうびははちみつでいい?」
「うれしい。本当はそれが目当てだもん」
「じゃあ、とうさんたちに言っておくね」
「約束だよ」
「うん、約束」
 もうすぐ別れるかもしれないけれど、ずっと友達。ぎゅうっと手をつないで走るふたりの頭の上をぶううん、とはちが飛んで行きました。二人の仲をとりもったのがはちみつだなんて、知りもしないでね。 
  



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