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さあ、一時間目が始まりました。ミツオのきらいな算数です。
「トラが五頭とウマが二頭、いっしょにいました。さて、今はぜんぶで何頭いるでしょう?」
先生がもんだいを出しました。
「ミツオくん、こたえてみましょう」
ミツオは手と足をつかって、いっしょうけんめいにかんがえました。五たす二だから…。
「えっと…、七かな。うん、七頭です」
「ちがいます」
「えっ!?だって五たす二は七だよ」
「はい。でも、ちがいます。では、トラジくん、こたえてみましょう」
先生はとなりの席のトラジをあてました。
「五頭です」
「はい、せいかい。よくできました」
ミツオはびっくりしました。
「なっ、なんで?」
トラジが言いました。
「ウマはトラが食べてしまうもの」
「それって、とんちじゃないか」
ミツオはもんくを言いながらも、ウキウキしてきました。
「先生、こんどはぼくがもんだいを出してもいいですか?」
「ええ、どうぞ」
先生はにこにこしながらうなずきました。
「お花が十本ありました。みつばちがそのうちの三本のみつをすいました。さて、お花はぜんぶで何本になったでしょう」
「ハイ!」
「ハイ!」
トラの子どもたちは元気に手をあげました。
「じゃあ、トラゾーくん」
ミツオがあてると、トラゾーはむねをはって立ち上がりました。
「七本!」
ミツオはにんまりしました。
「ちがいます」
「えっ?なんでだよ!」
「だって、みつをすわれてもお花はお花。だから、ぜんぶで十本です」
パチパチパチ…、先生がはく手をしました。
「すばらしいわ。よくできました」
子どもたちも手をたたいて言いました。
「ミツオくんって頭いいんだなあ」
ミツオはうれしくなりました。そして、トラの学校の算数が大すきになりました。
二時間目は音楽です。
先生が言いました。
「きょうは『ガオーッ』のテストをしますよ」
「えーっ、やだなあ…」
トラジがしょぼんとしました。
「『ガオーッ』のテスト?」
ミツオが聞くと、トラジは言いました。
「ぼく、一番にがてなんだ…」
今にもなきそうな顔をしています。
「なにをするの?」
「ガオーッてどなるんだよ。大きな声で強そうにさけべれば百点なんだけど…」
みんなは前のせきから順番に「ガオーッ」と、どなっていきました。
「はい、いいですね。つぎ、トラジくん」
トラジの顔はまっ白でした。トラジはひどく気の弱いトラなので、大声を出さないといけないこのテストはいつも0点だったのです。
「がお」
「もっと、おなかのそこから声を出しなさい」
「がおっ」
「トラはトラらしく、強く、たくましく!」
「がおお」
「そんなんでは、また0点ね」
先生がためいきをついたそのときです。
「ガオオーッ!!!」
トラジがけたたましい声でさけびました。
「ごっ、ごうかく!百点!」
教室中からはく手がおこりました。
「トラジ。すごいぞ!」
トラジはうれしくて顔がまっかになりました。そして、ミツオを見ました。ミツオはかためをつぶってブイサインをしています。トラジはおしりをさすりながら、てれくさそうにちょこんと頭を下げました。
じつは、ミツオがトラジのおしりをはりでチクリとさしたのです。おかげで、トラジは思わず大声をあげることができたのでした。
さあ、つぎはミツオの番です。ブイサインしている場合ではありません。
「がお、がお、がお」
「ダメダメ、まるで虫みたいな声じゃないの」
先生はあきれたように言いました。
「だって、ぼくは虫だもん」
ミツオは下を向いてしまいました。
「あのう、先生、虫が虫らしい声だったら、虫の場合は、いいような…」
はずかしがりやのトラジが立ち上がったので、あたりはしんとなりました。トラゾーが言いました。
「さんせい!トラはトラらしい声を出しなさいって言ったのは先生だよ。だったら、みつばちはみつばちらしく、だよね」
先生はしばらく考えていましたが、にっこりわらって言いました。
「そうね、ミツオくんもごうかく。百点です」
また、みんなからはく手がおこりました。
ミツオはトラの学校が大すきになりました。
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