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みつばちの童話と絵本のコンクール


「みつばちのチチ」

一般の部 佳作

まうのすけ(北海道)

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※写真をクリックすると、大きい画像が表示されます。

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チチは少し困ってきました。
クマと一緒にいるのを 他のみつばちに
見られたら どうだろう。
クマはみつばちにとっては ハチミツを
ねらう悪いやつなのです。
チチはつめたく言いました。
「ぼくは友達なんかいらないんだ。
昔は一本杉の巣に住んでいたけど、
そこの連中とは うまく いかなかった。
だから一人でいいんだ。
君も早く帰ってくれ。」
クマは さびしい顔をしましたが、
すぐに思いついて言いました。
「明日 また来るよ。助けてもらった
お礼をしたいんだ。」
そうして クマは森の中へ去っていきました。




あくる日、森の中はざわついていました。
みつばちたちが不安そうにいったりきたり
飛びかっています。
チチは昔の顔なじみをつかまえてわけを
聞きました。
「大変な事件がおきたんだ、ぼくらの
一本杉の巣が 今朝クマに襲われたんだ」
「なんだって!?」

Picture01
「やつったら ぼくらの巣を わしづかみにして 大きくゆさぶって 壊したんだ。
それに 大声で“でてこい!!”と どなって……ああ 恐ろしいったらないよ。」
「でも ぼくらも巣を守るためには負けられない。
仲間たちで束になって クマの鼻めがけて得意の一撃をおみまいしてやったさ。
クマのやつ たまらず 逃げてったよ。足にしっぷをまいた どんくさい やつだったな。
でもぼくらの巣もボロボロさ、すぐに修理しなきゃ いけないけど、ケガをした仲間もたくさんいて……」

チチは青ざめました。昨日のクマがそんなおそろしいことをしたなんて……




Picture01

自分の助けたクマが、一本杉の巣を
襲ったなんて 他のみつばちに知られたらと
思うと チチは不安でした。
「ああ、やっぱり助けるんじゃなかった。
クマなんて……」
チチはふらふらと森の中を飛んでゆきます。
すると……
「うぉぉん わああん」
昨日と同じ泣き声がきこえます。
チチが声のする方へ近づいてみると、
鼻をまっ赤にはらした あのクマが
川のほとりで 泣いていました。
チチはクマに つめよりました。
「どうして一本杉の巣を襲ったんだい!?」

クマは涙ながらに 言いました。
「ちがうよ、襲ったんじゃないんだ。
そりゃあ ハチミツは大好物だし ちょっと いただけたらなって 思ったけど……
いやいや ちがうんだ。本当に襲ったんじゃないよ。
ボクは昨日 君にお礼をすると言ったろう?
だから 君が昔の仲間とまた一緒に遊べるようにして あげたかったんだ。
それで巣に行って、みつばちたちにお願いしようとしたんだよ……」




クマは チチのために みつばちの巣を
ノックして 話しかけたつもりが、彼の
不器用な指ではそれが巣を壊す結果に
なってしまったのです。
クマは失敗と鼻の痛みで すっかり元気を
なくしていました。
クマを怒るに怒れなくなったチチは 
つっけんどんに言いました。
「よけいなことをしないでくれ。
ぼくは友達はいらないと言ったじゃないか」
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「でも ボクには 君がとても さびしそうに見えたんだよ」
クマはそう言うと 赤い鼻をおさえて、また しくしく泣きだしました。
みつばちの針の一撃は とても強力なのです。




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