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少し向こうに丘が見えてきた。旅人は少々ほっとしながら、歩調を早めた。丘の向こうには、町があるはずだ。
なだらかな丘を、少しずつのぼっていくにつれてだんだんと向こうの景色が見えてくる。そんな時間は、いつも旅人を期待させ、楽しませてくれた。
丘をこえると、小さな町が現れた。旅人はその町を丘の上から、悠悠とながめた。
赤い屋根や、緑、青の屋根がぽつん、ぽつんと見える。どれも、とてもりっぱな家だ。庭の花壇には、冬だというのにやけに鮮やかな花が咲いている。町には、平和で暖かい空気が流れていた。
旅人は、ゆっくりと丘をくだっていった。
空をみると、黒い雨雲が一面を蔽って今にも雨が降り出しそうだった。
「これは、降ってくるぞ。」
旅人はつぶやくと、足早に町に向かった。
やっと、町のはずれに着いた頃には、雨の滴がぽつり、ぽつりと地面をぬらしていた。
旅人は、どういうことかたまたま傘を持っていないことに気がついた。そこで、とりあえず雨がひどく降り始める前に、雨宿りをすることにした。
旅人は、向かいの通りにある古い雑貨屋にはいった。 |