一般の部 最優秀絵本賞
竹鼻 恵子(長野県) 鍋島 利恵子(長野県)
外に出て、トラさんは大きく 深呼吸しました。 それから、手と足をクニクニほぐし、 ダダッと走り出しました。 朝の空気は、涌き出たばかりのお水のように 冷たくて、おいしくて、いい気持ちです。 まっすぐのびている桜並木を、トラさんは、 「ワーオー、ワーオー」とほえながら、 スピードを上げてどんどん走りました。 桜がギュンギュン後ろへ流れていきます。 遠くの丘に、早起きのウシさんたちが 散歩しているのが見えてきました。 「オット、忘れるところだった。 ハチミツ、ハチミツっと」
「ハー、ハー、ガルウ、ハー、ハー、 ガルウ」 「ハー、ハー、モウ、 ハー、ハー、モウ」 「あのう、ちょっとおききしますが、 この辺にミツバチさんが・・・」 「なに?なんなの?あたしは大きいから、 ぜんぶ食べたらぜったいおなかこわすわよ」 その時、トラさんの目の前を一匹の ミツバチさんが通りすぎました。 「あ、ミツバチさんだ」
トラさんは、ミツバチさんを追いかけて、森の方へ走っていってしまいました。 「なんなのよ、モウー」 ウシさんが、プンプンしてシッポを2回振るあいだに、 もうトラさんは見えなくなりました。
しばらく行くと、たくさんのミツバチさんたちが、ブーワン、ブーワンとすさまじい 羽音をひびかせて、トリたちと戦っているところに出くわしました。 さっきのミツバチさんも、応援に加わりました。 トリたちは、しつこく何度も攻撃してきます。ミツバチさんたちは大ピンチ。 「わあ、ミツバチさんたちが食べられちゃう。ど、どうしよう」