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(ああ、こんな気持ちは、初めてだ。)
ポーは言いました。
「早くきれいな花を、咲かせて下さいね。キミの花は、きっと素晴らしいことでしょう。」
その日から、タネは自分がおくびょうだったことを忘れました。ポーの嬉しいことばのおかげで、すくすくと育ち、今ではタネではなく、立派な『つぼみをつけた花』になっていました。
いよいよ花を咲かせた日、親友のポーが一番に花のミツを集めに来ました。ポーは感激して言いました。
「なんて甘くていいかおりなんだろう。思った通り、キミの花は美しく、ミツは最高においしいよ。」
花も、ポーに喜んでもらって、とても幸せでした。他のチョウやアブも、花の美しさとミツをほめてくれました。
(みんなが、ぼくをほめてくれる。みんなが、おいしいと喜んでくれる。こんな気持ちは、初めてだ。)
何日かして、一匹のクマが花のところへやってきて、言いました。
「花くん、とってもおいしいハチミツを、どうもありがとう。」
花は驚き、尋ねました。
「ぼくのミツを、クマさんが知っているのはなぜ?」
クマは答えました。
「ミツバチのポーくんが、毎年ハチミツを少しわけてくれるんだ。今年のハチミツは、とびきりおいしいねって言ったら、キミから集めたミツで作ったって教えてくれたんだよ。」
花は涙が出そうになりました。
(ぼくのミツで、こんなにおおぜいの仲間が喜んでくれた。こんなにおおぜいの友達が出来た。もうぼくは一人じゃない。ぼくは毎日が楽しくって、仕方ないんだ。こんな気持ちは、初めてだ。)
花はクマに言いました。
「ぼくが土の外に出てからね、たくさんの初めての気持ちを味わったよ。そしてね、花を咲かせて、本当によかったって思ってるんだ。ぼくは、もう一人じゃないから、何だって出来る気がしてるよ。」
クマが花に答えました。
「うん、キミがウキウキする気持ち、よくわかるよ。初めての気持ちは、いつもウキウキするものさ。」
花は、クマのことばに、大きくゆれて、しみじみと言いました。
「あぁ、そうだったんだ!ぼくもついにウキウキを見つけたよ!ウキウキは、こんなに嬉しくて、優しいものなんだね。ぼくが見つけようとすれば、すぐそばで、いつもぼくのことを、見つめてくれているものだったんだ。」
花は、ミツバチたちがダンスをする下で、小きざみにゆれました。それは、笑っているようにも、ハミングしているようにも見えるのでした。
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