女の子のおばあさんは、歯がないことからみんなに歯なしのおばあさんと言うことで、ハナバと呼ばれるようになりました。それを聞いたおばあさんは、
「気に入った!」
と、言ったそうです。
そのハナバは、草がきれいに刈り取られた庭のまん中にあの古いミシンを置いて、かちゃかちゃ踏みならしながら、布で何やら作り始めました。
みんなの働きで、お昼前にはすっかり引っ越しが済んで、どこもかしこも古いなりにきれいな家になりました。
村人は一息ついて、今度はミツバチの贈り物の、冷たくひやしたミツバチジュースというものをごちそうになったのです。
「うまいもんだ。疲れがさーっと引いていくようだ。ところでハナバ、ミツバチをどうすればこの村に呼ぶことができるだろうか」
「そうだ。なんとしても来てもらいたいね。こんなに貧しい土地だから嫌がるかもしれないけれど」
「子どものおやつと言えばジャガイモぐらいだもの。こんなに甘くておいしいものを食べさせてやりたいね」
みんなは、ハナバの知恵を借りたいと質問責めにしました。
「大丈夫だ。ミツバチはかわいい生き物だ。いじめないで仲良しになれば、なんぼでもよってくる」
ハナバは自信を持ってそう言いきったのです。もちろんケンが通訳しました。
みんながそろそろ帰り支度をし始めると、ハナバはミシンでつくった小さな袋を、一人ずつに渡しながら言いました。
「今日は、ありがとう。本当に助かった。うれしかった。さっきの話じゃが、この村にミツバチを呼ぼうと思うがいかがかな」
みんな大賛成でした。
「わしはさっそくミツバチに来てくれるように手紙を書く。この村はみんな親切で住み良いところだと書く。ミツバチをいじめたりしないと書く」
ハナバくらいの年になればミツバチにだって手紙くらい書けるんだと、みんなは納得しました。
「ミツバチがやって来るまでに、たくさん準備しなければならないことがある。この袋の種を野原一面にまいておくれ。そして陽当たりのいい丘にはミカンの木を植えよう。人も木も虫も魚も動物も、みんな助け合って仲良く暮らせば、天から地からそこら中から力がみなぎってくる」
ハナバはそう言ったのです。そうしてみんなはハナバの作った布袋をおみやげにもらいました。
その袋には小さな女の子が入れたレンゲの種が、たくさん入っていました。
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