山を三つ越えた森のはずれに、小さな村がありました。
あまり小さいので地図でさがそうとすると、十日はかかります。
陽あたりのいい丘と緑が広がる、おだやかな村でした。このいいとこだらけの村にも、一つだけ欠点がありました。
それは土が悪くて、あまり作物が育たないことでした。それでも村人は、いつの日か栄養のあるおいしい作物が作れるようにと毎日土づくりに励んでいました。
ところでいつもは静かなこの村が、今日ばかりは火山が爆発したような、大騒ぎの日になってしまったのです。
事の始まりは一台のオンボロ車です。
何がひどいって、これほどのオンボロ車には、めったにお目にかかれるものではありません。
人差し指でちょっと押せば、すぐにパラッと解体しそうによれよれの車でした。
そんな動く鉄くずのような車が、ガタランゴトロンとわれ鐘のような音を立てて、こともあろうに静かなこの村に、よろめきながら入ってきたのです。
五月晴れの昼下がりのことでした。
お昼ごはんがすんで、どこの家ものんびりとくつろいでいる時間でした。
「あれ!何の音だろう」
近づいてくるガタランゴトロンの音にびっくりして、ほとんどの村人がいっせいに表に飛び出しました。
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