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ミツバチの童話と絵本のコンクール

ハルおばあちゃんのまほう

受賞小栗 理香子 様(神奈川県)

「いーち、にーい、さーん・・・・・・」
 かずやが大きな声でかぞえはじめると、みんな、いっせいにかけだした。
 なつおも、木の根っこにつまずかないように気をつけながら、むちゅうで走った。
 大きな木がたくさんある、この『ゆめの森こうえん』でするかくれんぼは、さいこうにたのしい。
 かくれるばしょは、いくらでもあった。
 なにしろ、なつおの体より太い木が、いくらでも生えていたから。
(今日はあの、くすのきのかげにかくれよう!)
 なつおが走って行くと、もうそこには、のぞむがかくれていた。
「なんだよ、二人はむりだよ!」
 のぞむにそう言われて、しかたなくあたりを見回すと、しょうごも、すぐそばの木のかげにかくれていた。
「なんだよ、こんなに近くにいたら、いっぺんにみつかっちゃうぞ!」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。かずやは、いつもこうえんの東のほうからさがすんだ。こっちには、すぐには来ないよ。」
「でも、今日は、ちがうかもしれないよ!」
 なつおは、先をこされたくやしさにそう言うと、いそいで、こうえんの北のほうへ走った。
 北のほうには、まだかくれたことがなかった。
「ひゃーく!もういいかーい!」
 とおくから、かずやの声が聞こえた。
「もういいよー!」
 なつおは、そうさけびながら、つつじのいけがきのかげに、身をひそめた。
 ここにはまだ、だれもかくれたことがなかった。
 つつじの葉のあいだから、そっとようすをうかがってみる。
 まだシーンとして、だれもつかまったようすはなかった。
(よーし、今日こそ、一ばんさいごまでのこるぞ!)
 そう思ったとき、
「ここなら安心ね。きっと、見つからないわ。」
と、ふいに頭の上のほうから声がして、なつおはとび上がった。
 ふり向くと、なつおのうしろの家のまどから、まっ白なかみの毛の、やせた小さなおばあさんがのぞいていた。
 こうえんとおばあさんの家のあいだには、なつおがかくれている、つつじのいけがきしかなかったから、なつおがかくれているすがたは、おばあさんからまる見えだった。
 おばあさんは、まどによせたベッドの上にちょこんとすわり、パジャマすがたでニコニコとわらっている。

 なつおがポカンとしていると、おばあさんは
「あっ、ほら、頭を下げて!おにが来たわよ!」
と言った。
 なつおは、あわてて頭を下げた。
 パタパタと走るかずやの足音が、とおりすぎて行くのが聞こえた。
「もうだいじょうぶ、行ってしまったわ。」
「ありがとう!」
「ウフフ、どういたしまして。ぼくは、なん年生?」
「二年生。ゆめの森小学校の。」
「そう。学校は、たのしい?」
「うん。でも、ここであそんでるほうが、もっとたのしい!」
「フッフッフ!」
 おばあさんは、体をゆらしてわらった。
「そうね、ほんとうにたのしそうだわ。ここから見ているだけでも、たのしいもの。わたしもいっしょに、みんなとかくれんぼしてみたいわ。」
「いっしょにやる?」
 おばあさんの目が、いっしゅんキラキラッとかがやいて、それから、くしゃくしゃのえがおになった。
「そうねえ、わたしも、あなたたちみたいに走り回れたら、どんなにたのしいかしら。でもわたしは、ここからうごけないのよ。」
「・・・びょうきなの?」
「まあ、そんなとこかしらね。もう、としをとりすぎてしまったわ。でも、ここからこうして、あなたたちがあそんでいるのを見ることはできるのよ。」
「・・・ふうん。」
 なつおは、おどろいた。
 自分たちがあそんでいるのを、見ているだけでたのしいと思っている人がいたなんて。
 そのとき、おばあさんのへやに、女の人が入ってきた。
「あら、お母さんたら、だれとしゃべってるの?」
 女の人が手にしたおぼんの上には、ジュースの入ったコップが二つのっていた。
「ウフフ、わたしのお友だちよ。いま、いっしょにかくれんぼをしているところなの。ね!」
 おばあさんは、いたずらそうに、なつおにウィンクして見せた。
 なつおもつられて、おばあさんにウィンクした。

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