ミツバチの童話と絵本のコンクール

ま法のはちみつ

受賞菅 智昭 様(愛媛県)

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『ま法のはちみつ』

ここは花畑です。 色とりどりの花がさきほこっています。
向こうに見えるのは、 『そよ風森』 です。
そよ風森はそよ風がきもちよくふくので、そよ風森とよばれています。
その森のおくには昔から 『ま法のはちみつ』 とよばれるはちみつがあります。
そのはちみつを食べると、 どんな願いでも一つかなえてくれます。
しかし、 その周囲はきけんなことやこわい動物たちがいて、
『悪まの土地』 とよばれていてだれも近よろうとはしませんでした。
けどこのごろその土地は 『ゆたかな土地』 とよばれるようになりました。
いったいどうしてなのでしょうか。
それはあるハチの女の子がつけた名前だそうです。
それでは、 今日はその物語についてお話しましょう。

花畑の中心に大きな木があります。
そこにはハチの巣があります。
今、そのハチの巣は大変なことになっています。
「大変だ!大変だ!王女様が………。」
「王女様が死のはちみつを飲んでしまったぞ!」
「大変だ!」
はたらきバチたちが王女様のへ屋へ向かいます。
「王女様。 大じょう夫ですか。」
「えっ ………ええ。」
「大じょう夫なもんか。 死のはちみつだぞ。」
「となりの村にいけば、 薬が手に入るけど。」
「一週間はかかります。 どうしたら………。」
いったいどうしたのでしょうか。
「もう………いいのです。 死のはちみつを飲むと
五日後に死んでしまうのですから。 もう助かる方法はないのです。」
そのとき大臣が、
「いや、 一つだけ方法があります。 そよ風森です。
あそこに行けばま法のはちみつが手に入ります。 しかし………。」
「悪まの土地ですね。」
「あんなおそろしい所にだれもいきません。」
せっかくの方法なのに。 みんなが静まりかえったとき、
「私………私がいく!」
あまりにとつぜんの言葉にみんな声を出せませんでした。しばらくして。
「ハッルーだな。 いくといったのは。」
みんなの目が一ぴきのハチにいきました。
「あぶないのはしょうち。 でも、 それで王女様が助かるなら。」
「無理だよ。 だってハッルーはチビだしドジだし。」
ハッルーという子はドジでみんなより小っさい女の子です。
ざわざわ。 ゴニョゴニョ。
そのとき、
「いかしてみましょう。」
大臣が言いました。
「そうだね。 ハッルーだってもう十さいになるんだ。
いつまでも子どもじゃあないよ。」
「けど心配だなあ。」
「大じょう夫。 地図をあげるよ。」
みんなハッルーがいくのにさん成してくれました。

次の日。
ハッルーはよもぎの葉でつくったリュックをもって、 そよ風森に向かいました。
「いってきます。」
その夜、
「いたっ。」
ハッルーは葉っぱの上で、 手のけがにクスリをぬっています。
今日はさんざんな目にあいました。
出発しておよそ三十分で悪まの土地の周辺まで来ました。
ところが、 とげとげつるにひっかかりそうになったり、
くもの巣に足がからまったり、 木にぶつかったり。
手のけがは木にぶつかったときにできたものです。
ハッルーは、
『一日目なのにこんなんじゃあだめだ。』
と思いました。

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